丸野、売り上げから内容重視へ 企業価値高め人材育成
物流企業
2016/11/07 0:00
【長崎】総合物流サービスの丸野(野上龍彦社長、長崎市)を中核企業とする丸野グループでは、2016年9月期を初年度とする中期経営計画(3か年)で、人材の確保・育成を重点課題に掲げ、リーダークラスの育成に注力する。評価制度や福利厚生を見直し、「仕事と生活に生きがいを感じる社風」を醸成。組織の魅力を高め、中堅・若手従業員の確保につなげる。(上田慎二) 「売り上げ重視から内容重視で企業価値を高める。まず、現場を支える人材の育成が優先」と強調する野上社長(64)。少子高齢化の加速で人手不足が深刻さを増す。「優秀な人材こそ、他社との差別化、業容拡大に不可欠なファクター」と言い切る。 メンタルヘルス対策に対応するため、今期からストレスケア・サポートの専門コンサルタントと契約。管理職、ドライバーの階層別で研修、アドバイスする。9月から10月にかけ、長崎本社、東彼杵営業所、福岡営業所の3会場で開いた安全大会では、コンサルタントから心身トラブルの予防と対処を学んだ。 また、モチベーションを上げる体制と仕組みの構築に向け、①評価制度の改善②福利厚生・各種手当の見直し③給与体系の見直し──など待遇改善に着手した。管理者ミーティングやコンサルタントと協議を重ね、仕事の価値基準に対するルールを明確化。公平に評価される体制を整え、幹部、従業員のやる気を引き出し、ストレスが原因の交通事故を抑止する。 野上氏は「上司によって評価が違えば、ドライバーは戸惑う。管理者は、お客さまとドライバーの板挟みでストレスがたまる。こうした悪循環を断ち切る必要がある」とみる。 研修会や社会貢献活動、レクリエーションを通し、現場と内部管理者、現場と現場のコミュニケーションを増やす。ドライバーの悩みに耳を傾け、現状分析と原因、対応を考える「懐が深いリーダー」を育てる。組織の魅力を高め、若者から選ばれる企業を目指す。 長距離輸送の労働時間改善も重要課題の一つ。将来的には関西に中継拠点を設け、リレー輸送を視野に入れる。適正運賃の確保は待遇改善に不可欠だ。新規事業の依頼があった場合、物流診断チームが現場に直接出向き、業務内容を分析し、改善提案で収益性を見極める。 B to C(企業-消費者)は、大手アンダーの立場が多く収益が厳しいため、企業間取引(B to B)を拡充する方針。 更に、医薬品物流の3PL(サードパーティー・ロジスティクス)に力を入れる。自然災害が多発する中、医薬品の物流は拠点の見直し、分散によるリスク回避の動きが強まる。九州全域、特に西九州での配送力を生かし、顧客ニーズを取り込む。 「従業員はグループで620人。このうち、ドライバーと管理職は400人。一人ひとりの課題解決に対する実行力を養いたい。一人の100歩より100人の1歩だ。従業員の一致団結で難局を乗り切っていく」 【写真=九州全域、特に西九州での配送力を生かし、顧客ニーズを取り込む】