物流ニッポン – 全国の物流情報が集まるポータルサイト

取引労働改善熊本協、発荷主にJA熊本経済連 長時間労働の問題抽出

行政

2016/11/03 0:00

 【熊本】トラック輸送における取引環境・労働時間改善熊本県地方協議会(坂本正座長、熊本学園大学教授)は10月24日に開いた第4回会合で、パイロット事業に着手することを決めた。今秋、パイロット事業の対象集団を選定していたが、熊本地震の影響でキックオフが遅れていた。業界の多層構造や多様な取引形態を踏まえ、長時間労働の抑制に向けた実証実験が本格始動する。(武原顕)  発荷主は、熊本県経済農業協同組合連合会(JA熊本経済連、加耒誠一会長)で、運送事業者が熊本交通運輸(住永金司社長、熊本県益城町)、国際急送(岩本広海社長、宇土市)、宇城農産輸送(坂木光代社長、熊本市南区)の3社。着荷主は、輸送品目別で出荷時期、市場が複数で異なるため、選定しなかった。  実証実験は、熊本県南で生産されるメロンやナス、キュウリ、トマトなどの青果物を、JAや生産農家、集荷場から選果場(選果・集約・保管)、選果場(第2園芸集送センター)から全国22市場(主に関東・中京・関西)、卸会社、スーパー、消費者への輸送で行う。選果場から市場は、一部フェリー航送を利用する。  パイロット事業は専門家のアドバイスを受け、長時間労働の問題点を抽出、改善策を探り、17年3月末に報告書として取りまとめる。  意見交換では、日本通運熊本支店の児玉恒康支店長が、下請等中小企業の取引条件など、運送契約の書面化に関する基本的な考え方を整理して考える必要性を指摘。  熊本交通運輸の住永社長は、警察庁が高速道路一部区間の制限速度を110キロまで試験的に引き上げる、との発表を取り上げ、「大型トラックは性能が格段に向上し、制動距離も含めて安全面で問題無い。にもかかわらず、現行の80キロを維持するのは疑問である」と問題提起した。  続いて、熊本県トラック協会の住永豊武会長が「パイロット事業は成果を出さないでは済まされない。青果物輸送だけでなく、業界及び社会全体の問題として考えるべき。パイロット事業に協力を頂いた荷主企業には感謝を申し上げる」と述べた。  最後に、熊本労働局の徳田剛局長が「長時間労働の抑制に向け、事業経営が成り立たないようでは困る。パイロット事業では実効性のある結果を期待したい」と結んだ。 【写真=パイロット事業に着手することを決定】





本紙ピックアップ

ブリヂストン物流「SBSグループ入り」、横のつながりでシナジー

 ブリヂストン物流(三好由浩社長、東京都小平市)は10月1日付でSBSホールディングスグループ入りしたのを機に、独自の成長戦略を推し進めていく。三好社長(63)は「これまではコストセンターだったが、これからはプロフィット…

ニュース深掘り/交付金法改正案の議員立法、与野党の審議大詰め

 軽油引取税の旧暫定税率廃止後、トラック運送、バス事業への運輸事業振興助成交付金の5年間継続などを規定する議員立法で、今国会での法案提出に向けた各党の協議が大詰めを迎えている。与野党各党とも前向きに検討しており、今国会で…

NS物流研/学生研究発表、海洋大・黒川ゼミV

 NS物流研究会(樋口恵一会長)主催の「物流関連ゼミ学生による研究発表会(全日本トラック協会、物流ニッポン新聞社後援)」が8日に開かれ、東京海洋大学の黒川久幸ゼミが優勝した。7校が参加し、準優勝は神奈川大学の齊藤実ゼミ、…

運輸労連/26年春季労使交渉、1万7300円中心に要求

 運輸労連(成田幸隆委員長)は、2026年の春季労使交渉での統一要求基準について、物価高対策と他産業との格差是正に向け、定期昇給分1.5%に賃金改善分5%を上乗せし、賃上げ率を24、25年を上回る6.5%、要求額は「1万…

オススメ記事

ブリヂストン物流「SBSグループ入り」、横のつながりでシナジー

 ブリヂストン物流(三好由浩社長、東京都小平市)は10月1日付でSBSホールディングスグループ入りしたのを機に、独自の成長戦略を推し進めていく。三好社長(63)は「これまではコストセンターだったが、これからはプロフィット…

ニュース深掘り/交付金法改正案の議員立法、与野党の審議大詰め

 軽油引取税の旧暫定税率廃止後、トラック運送、バス事業への運輸事業振興助成交付金の5年間継続などを規定する議員立法で、今国会での法案提出に向けた各党の協議が大詰めを迎えている。与野党各党とも前向きに検討しており、今国会で…

NS物流研/学生研究発表、海洋大・黒川ゼミV

 NS物流研究会(樋口恵一会長)主催の「物流関連ゼミ学生による研究発表会(全日本トラック協会、物流ニッポン新聞社後援)」が8日に開かれ、東京海洋大学の黒川久幸ゼミが優勝した。7校が参加し、準優勝は神奈川大学の齊藤実ゼミ、…

運輸労連/26年春季労使交渉、1万7300円中心に要求

 運輸労連(成田幸隆委員長)は、2026年の春季労使交渉での統一要求基準について、物価高対策と他産業との格差是正に向け、定期昇給分1.5%に賃金改善分5%を上乗せし、賃上げ率を24、25年を上回る6.5%、要求額は「1万…

Share via
Copy link
Powered by Social Snap