物流ニッポン – 全国の物流情報が集まるポータルサイト

海運3社、定期コンテナ船で統合 運賃低迷新会社を来夏設立

物流企業

2016/11/03 0:00

 日本郵船、商船三井、川崎汽船の3社は10月31日、定期コンテナ船事業で合弁会社を設立し、経営統合することで合意した、と発表した。新会社は2017年7月をメドに設立、翌18年4月からの事業開始を目指す。3社のコンテナ船事業は船隊規模で140万TEU(20フィートコンテナ換算)、専業会社としては世界6位となる見通し。海外ターミナル事業を含むコンテナ船事業の売上高の単純合計は2兆403億円(16年3月期実績)に上る。同日の記者会見で、3社のトップは「我が国の海運業界にとって歴史的な転換期となる。強い筋肉質な会社の下、オールジャパンで戦っていく」と語った。(高木明)  記者会見には、日本郵船の内藤忠顕社長、商船三井の池田潤一郎社長、川崎汽船の村上英三社長が出席。合弁会社を設立後、サービス開始は18年4月1日を見込む。出資額は船舶及びターミナル株式の現物出資などを含めて3千億円。出資比率は日本郵船が38%、商船三井と川崎汽船はそれぞれ31%を受け持つ。  3社によると、ここ数年、定期コンテナ船事業は、需要が鈍化する一方で、新造船竣工により船腹供給は増加し、需給バランスが大幅に悪化している。運賃は2月に底を打ったものの、低迷している。現在、世界規模での買収、合併など運航規模拡大による競争力強化の動きが目覚ましい。3社統合後、世界の専業船社は14社に集約される見通しだ。  新会社の始動に伴い、3社の合計船隊規模は140万TEUと増強されることから、年間1100億円のシナジー効果を期待。更に、グローバルな組織体制と定期船ネットワークの活用で、競争力の強化と新規顧客の獲得が可能となる。3社合計の世界シェアは現在7%程度だが、更なるシェア向上を見込む。  会見で、川崎汽船の村上氏は「歴史的な経営判断を行った。今後はオールジャパンとして世界市場で戦っていく」と強調。商船三井の池田氏も「当社のコア事業がコンテナ事業であることに変わりない。世界規模で合従連衡が進む中、3社連合で対応することが最善と判断した」、日本郵船の内藤氏は「いわゆる民間主導で新会社設立に至った。事業開始に向け解決すべき課題は少なくないが、力強く支援していきたい」と力を込めた。 【写真=手を重ね撮影に応じる(左から)川崎汽船の村上社長、商船三井の池田社長、日本郵船の内藤社長】





本紙ピックアップ

出版業界、適正原価義務化に危機感

 出版・印刷・製本・取次・書店業界が、トラック新法で規定され3年以内に施行される、運賃・料金の適正原価の義務化に危機感を強めている。出版不況の下、多くの出版社は出版物の大幅な値上げに踏み切れず、出版物関係の運賃は他業界と…

国交省/次世代ターミナル形成、システム導入へ指針策定

 国土交通省は、ICT(情報通信技術)などを活用した内航フェリー・RORO船ターミナル(次世代高規格ユニットロードターミナル=ULT)の形成に向け、内航フェリー・RORO船ターミナルのシャシー・コンテナ位置管理などシステ…

中国運局と公取委中国支所、初の合同荷主パト

 中国運輸局と公正取引委員会中国支所は17日、トラック・物流Gメンと下請課による合同パトロールを行い、広島市西区の荷主企業や荷主の業界団体を巡った。両者の連携による取り組みとして、トラックドライバーに聞き取り調査などを行…

物流企業のMBO、業界の構図変える契機か

 上場企業のMBO(経営陣が参加する買収)が増加傾向にある。物流企業も例外でなく、最近はエスライングループ本社(山口嘉彦社長、岐阜県岐南町)、トランコム(神野裕弘社長、名古屋市東区)、日新(筒井雅洋社長、東京都千代田区)…

オススメ記事

出版業界、適正原価義務化に危機感

 出版・印刷・製本・取次・書店業界が、トラック新法で規定され3年以内に施行される、運賃・料金の適正原価の義務化に危機感を強めている。出版不況の下、多くの出版社は出版物の大幅な値上げに踏み切れず、出版物関係の運賃は他業界と…

国交省/次世代ターミナル形成、システム導入へ指針策定

 国土交通省は、ICT(情報通信技術)などを活用した内航フェリー・RORO船ターミナル(次世代高規格ユニットロードターミナル=ULT)の形成に向け、内航フェリー・RORO船ターミナルのシャシー・コンテナ位置管理などシステ…

中国運局と公取委中国支所、初の合同荷主パト

 中国運輸局と公正取引委員会中国支所は17日、トラック・物流Gメンと下請課による合同パトロールを行い、広島市西区の荷主企業や荷主の業界団体を巡った。両者の連携による取り組みとして、トラックドライバーに聞き取り調査などを行…

物流企業のMBO、業界の構図変える契機か

 上場企業のMBO(経営陣が参加する買収)が増加傾向にある。物流企業も例外でなく、最近はエスライングループ本社(山口嘉彦社長、岐阜県岐南町)、トランコム(神野裕弘社長、名古屋市東区)、日新(筒井雅洋社長、東京都千代田区)…

Share via
Copy link
Powered by Social Snap