ヤマト&パナソニック、宅配8社分を一括配達 神奈川・藤沢スマートタウンで
物流企業
2016/10/31 0:00
ヤマト運輸(長尾裕社長、東京都中央区)とパナソニックは、神奈川県藤沢市のスマートシティー(環境配慮型都市)内に、各家庭に届ける宅配便の荷物を集約する物流施設を設け、ヤマトを含む8社の荷物を一括して配達するサービスを開始する。11月1日から施設を稼働させ、2017年3月からは家庭用テレビで配達予定日の確認や受取日の変更ができるサービスも始める。(吉田英行) パナソニック藤沢工場の跡地で開発が進められている「Fujisawaサスティナブル・スマートタウン(SST)」内に新物流施設を設けた。SSTは20万平方メートルの敷地に戸建て住宅600戸、集合住宅400戸、商業施設を整備する複合住宅街で、20年の完成を見込む。既に戸建て住宅350戸が建設され、千人が居住している。 新物流施設の名称は「ネクストデリバリースクエア」。鉄筋コンクリート造り2階建てで、延べ床面積477平方メートル。太陽光発電パネルや発光ダイオード(LED)照明を導入したほか、建設資材の低炭素化で環境負荷を低減している。 これまで宅配会社がそれぞれ配達していたSST内の住宅宛ての荷物を、同施設に集約。台車や電動アシスト付き自転車で各住宅に届ける。住宅街を走行するトラックを減らし、二酸化炭素(CO2)排出削減を図るのが狙いで、10月に施行された改正物流総合効率化法の総合効率化計画第1号認定を受けた。 一括配達には、ヤマトのほか、西濃運輸(神谷正博社長、岐阜県大垣市)、第一貨物(武藤幸規社長、山形市)、トナミ運輸(綿貫勝介社長、富山県高岡市)、新潟運輸(山田博義社長、新潟市中央区)、日通トランスポート(渡部正人社長、東京都豊島区)、福山通運、名鉄運輸の計8社が参画。佐川急便(荒木秀夫社長、京都市南区)と日本郵便(横山邦男社長、東京都千代田区)は加わっていないが、ヤマト運輸によると「両社とも参加の方向で前向きに検討中」(長尾社長)。 17年3月からは、宅配各社の荷物情報を一本化。SST内の住宅に標準装備されているパナソニック製のスマートテレビに配信するサービスを始める。荷物の配達予定や不在連絡などの情報をテレビ画面に自動表示し、画面から受取日時変更や受取場所の変更をできるようにする。 また、特設サイトを開設し、鮮魚やデパート地下街の食品の購入・当日配達、産地直送品の配達、ルームクリーニングの受け付けなども行う。 更に、パナソニックの技術を活用した24時間365日対応の無人宅配便受け付けシステム、自動搬送ロボットの導入も予定している。ヤマトは今後、SST周辺や他地域でも一括配達の取り組みを展開していく方針。 25日に行われた発表会で、関係者に新施設を公開した。ヤマトホールディングスの山内雅喜社長、ヤマト運輸の長尾社長、パナソニックの井戸正弘・役員ビジネスソリューション本部長、国土交通省の重田雅史・大臣官房物流審議官、関東運輸局の持永秀毅局長、藤沢市の鈴木恒夫市長らがテープカットを行った。また、持永氏から長尾氏に、総合効率化計画の認定書が授与された。 【写真=ヤマトHDの山内社長(左から2人目)らがテープカット】