創価大安田研究室、宅配再配達削減へ取り組み 消費者ができる対策提示
団体
2016/10/20 0:00
宅配便の再配達を減らすには、受け取る側の意識を変える必要がある――。再配達を社会問題として捉え、その解決策を発信する創価大学経営学部に在籍する3年生8人のチーム「SKYSTACK(スカイスタック)」。関係者へのヒアリングなどを通じ、再配達の問題を分析。ウェブサイトを立ち上げ、消費者ができる対策などを提示している。日本学生経済ゼミナールの関東部会による大会のプレゼンテーション部門では、140組以上の中から本選12組に選出。チームの中村薫さんは「大会発表で反響があった。学生から広められたら」と話す。 安田研究室(安田賢憲准教授)における、社会性と事業性を備えるビジネスモデルを目指したプロジェクトとして、3月に取り組みをスタート。当初は大学構内への宅配ロッカーの設置や、生協での受け取りサービスなどを考えたが、コスト面などで難航していた。 しかし、国土交通省などにヒアリングした結果、新たな方向性が見えた。島津聖太さんは「受け取り側の意識の変化は解決策になるが、再配達についてはまだ十分でない」ということがチーム全体の認識になった」と説明SKYSTACKのメンバーはネット通販の利用者で再配達も経験していた一方で、独自調査では再配達が社会問題であると認識していない人が多くいることが判明。内山幸子さんは「社会問題として認知されていれば解決につながるが、再配達についてはまだ十分でない」と指摘する。 そこで、9月にウェブサイト「Re→action(リアクション)」を開設。宅配便の2割が再配達になっていることによる社会的損失に加え、宅配事業者のサービスや宅配ロッカーを使った、消費者が取り組める対策を紹介している。 影山章子さんは「まず伝えることが大切」としており、モザイクアートを利用したPRや、宅配ロッカー事業者とロッカーを利用したい不動産会社との仲介などを構想する。 このほかにも、「学生団体や他大学との連携でこの取り組みを広げたい」(田村勇希さん)、「配達前に受取人に知らせるなどのIT(情報技術)の活用や、通販会社や荷主など関係者で取り組む必要も出てくると思う」(中野智香子さん)、「宅配事業者を選ばずに消費者が利用できるシステムがあってもいい」(藤井愛さん)といったアイデアが出ている。 安田准教授は「社会的課題の解決に向け、彼らの主体的に取り組む姿やメンタリティーには頭が下がる」と話している。(土屋太朗) 【写真=安田准教授(後列左端)とSKYSTACのメンバー】