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自動車後退時の警報装置義務化、国連WP29が協議開始 国交省 バックカメラを優先

行政

2016/10/17 0:00

 国連の自動車基準調和世界フォーラム(WP29)は、自動車の後退時の警報装置の義務化に向けた協議を開始した。バックしてきたトラックに視覚障がい者と盲導犬がひかれて死亡した事故を受け、日本では、義務付けに向けた機運が高まっている。しかし、WP29の日本代表である国土交通省は後方の視界を補うバックカメラの義務化を優先し、包括的な検討を求めている。また、警報に対しては欧州をはじめ世界各国で「騒音」との苦情が多く、曲折が予想される。(田中信也)  徳島市で2015年10月に起こった、視覚障がいを持つ男性と盲導犬がバックしてきたダンプカーにひかれて死亡した事故をきっかけに、視覚障がい者団体などから警報装置装着の義務付けを求める声が高まった。  これを受け、国交省は直ちに全日本トラック協会に、①やむを得ない場合を除き装置を停止しない②後退時などにあらかじめバックミラーなどにより、周囲の安全を確保する――など安全確保を会員に求めるよう通知した。  一方、徳島県は15年12月、警報装置のあるトラックのドライバーに装置の使用を義務付ける全国初の条例を制定した。ただ、条例には罰則規定が無く、装置の「装着」の義務化は見送った。  こうした中、スイス・ジュネーブで9月に開かれたWP29の騒音に関する専門家会議で、ドイツが「車両後退時の警報装置の統一基準をつくりたい」と提案。各国から異論は無く、協議入りすることが決まった。今後、年2回のペースで開催される専門家会議で、騒音にならないような音量や音色などの基準について検討。ドイツ、フランス、韓国など50程度の国・地域の統一的基準になる見通しだ。  会議に出席した国交省自動車局技術政策課の担当官は「日本も含め参加国から異論は無いものの、ゼロからの協議になる」と強調。7日に道路運送車両の保安基準の一部改正で施行された、ハイブリッド自動車、電気自動車などへの車両接近通報装置の義務化がWP29で採択されるまで、5年ほどかかったことを踏まえれば、基準化までにかなりの期間を要する可能性が高い。  国交省は、既にほとんどの大型車に警報装置が装着され、装置を停止しないように求める注意喚起をしていることから、「装置の国際基準化」には慎重姿勢を崩していない。10月11~14日のWP29の別の専門家会議(安全一般)で、日本側は「バックカメラの装着義務付け」を提案、警報装置と合わせた包括的な検討を求めている。 【写真=警報装置の義務化へ機運が高まっている(イメージ写真)=一部画像処理しています】





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