北海道―シンガポール、初の定期便 産地直送を「国際化」
物流企業
2016/10/06 0:00
シンガポール航空子会社の格安航空会社スクートは1日、北海道の新千歳空港とシンガポールのチャンギ国際空港を結ぶ初の定期便を就航させた。機体はボーイング787。パレット5枚とコンテナ4台を収容可能で、貨物は10トン積載できる。台湾を経由して週3回往復する。(大島杏奈) 従来は、道内で朝に採れた農水産物などをいったん東京まで輸送し、その後、東京からシンガポール行きの便で輸送していたため、収穫から現地に到着するまで3日かかっていた。定期便の就航によって、朝採れた農水産物が翌日には現地の店頭に並ぶ「産地直送の国際化」が可能になり、鮮度を維持しながら農水産物を輸出できると期待されている。 北海道とシンガポール国際企業庁は9月30日、「北海道ASEAN(東南アジア諸国連合)ビジネスセミナー&交流会」を開いた。札幌国際エアカーゴターミナル(高井修社長、北海道千歳市)と北海道物流開発(斉藤博之社長、札幌市西区)も共催し、シンガポールをはじめ、アジア地域への事業展開に興味を持つ事業者が参加した。 主催者を代表して、辻泰弘北海道副知事は「定期便の就航は観光だけでなく、様々なビジネスに利用できる。定期便を活用することで、シンガポールをハブとして、ASEANを中心とするアジア諸国へビジネス展開を図ることも可能。人やモノの交流が活発化し、新たなビジネスチャンスが生まれることを願っている」とあいさつ。 シンガポール国際企業庁のチュア・ティクヒム副長官が「不動産やホスピタリティー、物流や医療といった日本とシンガポールの貿易は東京や大阪、名古屋などの大都市に集中していたが、これからは地方経済の成長に期待したい。中でも北海道は認知度が高く、まだまだ生かされていない可能性がある」と話した。 また、道の尾形和則国際経済室長が「北海道とASEAN地域の現状と可能性」について、シンガポール航空カーゴの片桐三四郎日本地区本部長はスクートの札幌就航について、シーフードカンパニーのケネス・チア社長は「北海道産水産物をシンガポールと東南アジアに~新たな章へ」と題し、それぞれ講演した。 【写真=対談するシンガポール国際企業庁のチュア・ティクヒム副長官(左)とジェトロ北海道貿易情報センターの白石所長(右)】