宮城―山形、鍋越峠が通年通行化 新ルート&時短に期待
行政
2016/09/19 0:00
宮城県加美町と山形県尾花沢市を結ぶ国道347号の鍋越峠を挟む17.7キロメートル区間が、12月から通年で通行できるようになる。これまで同区間は、道幅が狭くて急カーブも多く、雪崩の危険があることから、冬季の150日間は閉鎖されていた。冬期間は日中のみだが通行できるようになり、新たな物流ルートを確保できるようになる。 両県と東北地方整備局、沿線市町村、関係団体で構成する鍋越峠道路管理検討会議(国方敬司座長、山形大名誉教授)が8日、宮城県大崎市で開かれ、管理者である両県から道路の改良、拡幅工事に加え、雪崩対策、緊急連絡設備などについて報告された。また、通行規制基準や監視態勢、除雪方法などを取り決めた冬期間道路管理計画も示した。 11月末までに全ての工事を完了させ、12月1日から日中(午前7時~午後7時)の通年通行を開始することを確認。併せて、冬季の雪氷状況(監視カメラによる視界観測など)を継続調査して、夜間開放に向けたデータの蓄積、分析等を行う。 347号は、東日本大震災を受け、防災と物流のルートとして重要性に注目が集まるとともに、両県の交流人口拡大、観光振興、雇用創出などを見込んでの通年通行化を望む声が高まった。これを受け、宮城県の村井嘉浩知事と山形県の吉村美栄子知事が2016年度内の通年通行化に合意し、改良工事を進めてきた。 通年化に当たって、沿線自治体や警察、消防に加え、トラック業界からの意見を参考にしようと、同会議を設置し、検討を重ねてきた。こうした中、「安全運行を確保するため冬季は当面、夜間通行を禁止にすべき」との意見が出されたことを受け、今年度は日中のみに限定した。 トラック業界からは、道路改良で大型車の相互通行も可能になることから、輸送ルートと時間短縮化への期待も高まっている。(富田久男) 【写真=道路の改良、拡幅工事などについて報告】