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吉部運送、ラップ車「萩」まるごと運ぶ 荷主も費用負担

物流企業

2016/09/12 0:00

 【山口】吉部運送(種子治一社長、山口県萩市)は、荷主のあぶらんど萩農業協同組合(JAあぶらんど萩、水津俊男組合長)とタイアップし、地元の観光資源をアピ-ルする大型ラッピングトラック3台を走らせている。「萩をまるごと運ぶプロジェクト」と名付けられたこの取り組みは、あえて車体に地元農産物をデザインせず、萩の歴史・風土・文化を前面に打ち出すことでPRしている。運送会社と荷主の強固なパートナーシップにより実現。1号車が走り始めた2009年から徐々に認知度が高まり、農家や市民からも喜ばれている。  県北地区の農協は以前、個別にトラックとドライバーを抱えて飼・肥料の配達や市場への搬入を行っていたが、合併に合わせて運送の外注化を進めてきた。  水津組合長(65)は「労働時間短縮や荷物の季節波動を考えて、『餅は餅屋に』の発想だ。吉部運送は輸送ミスも無く、コメや果実など輸送条件の違う品目をクレームゼロで運んでくれる」と、全幅の信頼を寄せている。  ラッピングトラックはこうした信頼関係を背景に実現したもので、費用はJAあぶらんど萩と吉部運送の双方が負担した。農産物をラッピングしたトラックなら全国的に珍しくない。もっと広い視野で萩市を全国、そしてアジアの消費者に届けることはできないか――。そんな思いで地元への貢献を主眼に置いたラッピングにたどり着いた。  水津氏は「萩市は工場が無いため、農産物はおいしく安全。しかし、あえて農産物ではなく、歴史・風土・文化をデザインすることで、萩市のイメージを打ち出し、地元の農産物の良さを想像してもらいたかった」と話す。  09年完成の1号車は、萩市の代表的農産物である夏みかんや、城下町などをあしらった車両で、「維新1号(夏みかん号)」と命名。10年には、萩市の花、椿や吉田松陰像、江戸時代の萩城下町絵図などを装飾した「維新2号(つばき号)」を製作した。  12年には県の協力も得て、江戸時代の庶民や幕末の志士たちが往来した交通路「萩往還」をメインに、伊藤俊輔(博文)ら長州ファイブなどをラッピングした「維新3号(萩往還号)」を稼働させている。  3台のトラックに共通しているのは、後部ドアの絵柄が全て「道」であるという点。水津氏は「前にトラックが来ると、どうしても乗用車のドライバーは視界が遮られてイライラしがち。後続車両に楽しんでもらえる絵柄にした」と狙いを説明する。  いずれの車両も県内のほか広島や福岡、長崎など各県を運行。荷室にもそれぞれラッピングを施しており、祭りやイベントで即席の舞台として活躍。JAあぶらんど萩の名前は車体に小さく印字しており、依頼主にとっては使いやすい。  安全面でも大きな効果をもたらしている。水津氏は「日本で唯一のトラックなので、ドライバーは徹底して丁寧に扱い、無事故・無違反で走ってもらっている。ドライバーの資質向上や交通マナーアップにつながっており、これからも続けて欲しい」と期待している。  15年には萩市から5カ所が世界遺産に登録されたが、このうちの萩反射炉などがラッピングに入っており、登録への気運を高めるのに大きな役割を果たした。吉部運送は一連の取り組みを評価され、13年に萩おもてなし大賞を受賞している。種子社長(58)は「JAあぶらんど萩の理解があったからこそ、ラッピングトラックが実現した。観光PRや安全面など、費用対効果も大きい」と話している。  萩市は日本ジオパーク認定を目指し、15年に推進協議会を設立しており、ジオパークをテーマにしたラッピングトラックも検討中だ。(江藤和博) 【写真=大型トラック3台に地元の観光資源をラッピング】





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