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新KS/RA制度、JAFAが講習充実

団体

2016/09/08 0:00

 フォワーダー事業者に対して国際旅客便の航空貨物への爆発物検査を義務付ける「新KS/RA制度」で、全ての旅客便が対象となってから2年が経ち、航空貨物運送協会(JAFA、伊藤豊会長)は2016年度、教育事業に注力している。フォワーダー事業者向けの講習を拡充。一方、検査機器の導入費用や制度の在り方などについて、依然として疑問視する声もくすぶる。  KS/RA制度は、荷主から航空機への搭載まで一貫して航空貨物を保護する仕組みで、05年10月に開始した。12年12月には新制度となり、米国向け旅客便の航空貨物への爆発物検査が義務化。更に、14年4月には全世界が対象となっている。  国土交通省が認定した特定のフォワーダー事業者(RA)や航空会社には貨物の検査が求められ、爆発物の航空機への搭載を防ぐ。認定事業者は4月1日時点で157社。一方、荷主も特定荷主(KS)として認定されれば爆発物検査をできるようになり、RAや航空会社が検査しなくてよくなる。ただ、従来の制度より要件が厳しくなったことで、旧制度で16万社あったKSは、新制度では500社程度にとどまる。  荷主がKSになることを選択せず、RAや航空会社に検査を任せることはコストやリードタイムの面でマイナスになる。一方で、RAも検査の増加に伴い、人件費や設備導入費の面で負担になる。  このため、JAFAでは航空保安に関する教育事業を推進している。14年11月に航空保安教育訓練支援機関として国から認定を受けたことで、15年度からRAを対象とした研修会を開始。今年度は取り組みの充実化を図っており、JAFAのセミナールームや成田国際空港(千葉県成田市)、関西国際空港(大阪府泉佐野市)に加え、新たに中部国際空港(愛知県常滑市)でも実施した。  更に、KS向けの講習も検討する。認定された後も、KSには自主監査などが求められる。研修を通じてKSの増加につながれば、フォワーダーの負担軽減に結び付く。JAFAでは、遅くとも17年度にも動き出したい考え。RA向けとは講習内容が異なるため、カリキュラムの見直しや講師の確保など体制整備が足元の課題だ。  全ての国際線での検査が義務化された当初、業界では事前に準備を整えていたこともあり、大きな混乱は生じなかった。近鉄エクスプレスでは、社内システムを改善し、ヒューマンエラーによる検査漏れを無くす仕組みを構築。必要事項や禁止事項を現場の手順書として明文化することで、実効性を高めている。  こうした業界を挙げた対応が成果として結び付いているものの、制度に対する不安や課題は残る。一つは、国際テロの脅威が世界的に増していることだ。日新は「RAとはいえ一般企業であり、日々巧妙化するテロに対抗できるのかという不安がある」と説明。爆発物の性能が高まり、現状の機器で対応できなくなった場合、機器の買い替えによるによる費用負担を案じる声も大きい。  また、荷主から空港までの貨物の流れの中で、「川上」「川中」に当たる荷主やフォワーダーを中心に検査を行わせる点も、制度開始前から議論となっていた。日新は「航空会社の上屋か搭載直前の検査がより効果的ではないか」と指摘。これに対し、空港関係者は「空港での搬入時間を考えると、ぎりぎりになり、遅れてしまう可能性がある」と時間的に余裕のある時点での検査を求めている。  01年の米自爆テロを契機に国際テロの脅威は増し、関係者は今後も対策を迫られる。「フレイター(貨物専用機)にも検査義務が広がったらどうなるのか」。航空保安の重要性が高まるにつれ、更なる負担増への懸念も広がる。(土屋太朗) 【写真=14年度から全世界向けの爆発物検査が義務化(中部国際空港)=中部国際空港提供】





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