エムズトランスポート、10年後を見据えた経営 即戦力確保より若者育成
物流企業
2016/09/08 0:00
【京都】2016年7月期決算で第20期を迎えたエムズトランスポート(宮本昌季社長、京都市伏見区)。これからの1年間を設立20周年のアニバーサリー期間と位置付け、ラッピングトラックの運行、記念式典、本社移転などを計画する。今後も大型車メインの事業展開を掲げる宮本社長(50)は「設立30周年までに、売上高30億円、経常利益3億円、保有台数150台を目指す。経営環境を取り巻く状況は厳しさを増すと思われるが、従業員だけでなく、協力会社も大事にしながら、時代のニーズを取り入れ、10年後を見据えた経営に努めたい」と強調する。(落合涼二) 1994年、軽貨物自動車運送事業の許可を取得し、物流業界に参入。97年に会社組織としてエムズトランスポートを設立した。運送会社と契約して配達したり、派遣事業を展開しながら業容を拡大。知り合いが増えると同時に、「自分で会社をつくろう」と仲間の後押しを受け、2001年に一般貨物自動車運送事業の許可を得た。 初めは2トン、4トン合わせて12台で酒類関係の配送を手掛けていた。業容が広がる中、8トン車を中心にした積み合わせ混載便をスタートさせ、少しずつ大型車主体の経営スタイルにシフト。現在、保有する80台のうち大型車は8割を占め、小口貨物の幹線輸送、住宅建材輸送や一般雑貨など幅広く扱う。 16年11月下旬、八幡市に新本社が完成。敷地面積8千平方メートル、木造2階建ての事務所に300平方メートルの流通加工を行う施設を併設する。第2京阪道路・八幡東インターチェンジ(IC)や京奈和自動車道・田辺北ICへのアクセスが優れるエリア。事業の推進状況によっては、隣接地(6千平方メートル)も開発し、駐車スペースを増やす考えだ。 「20年間で本社を4回移転した。11月で5回目になるが、購入は初めて。新本社をベースに設立30周年に向けた礎をつくっていきたい」 ラッピングは大型車4台、トレーラ1台のボディーに施した。「20thAnniversary」と大きくプリント。環境対策に取り組む企業イメージを持インターチェンジ(IC)や京奈和自動車道・田辺北ICへのアクセスが優れるエリア。事業の推進状況によっては、隣接地(6千平方㍍)も開発し、駐車スペースを増やす考えだ。「20年間で本社を4回移転した。11月で5回目になるが、購入は初めて。新本社をベースに設立30周年に向けた礎をつくっていきたいラ」ッピングは大型車4台、トレーラ1台のボディーに施した。「20thAnniversary」と大きくプリント。環境対策に取り組む企業イメージを持たせるため地球をデザインするとともに、宇宙空間をほうふつとさせるカラーリングを採用、事業の可能性は無限に広がる――という意味合いを込めた。 オートボディープリント事業を手掛ける関連会社のラッキーリバー(吉川愛社長、八幡市)に作業を依頼し、大型車が関東や九州方面の幹線輸送、トレーラは近畿圏の中距離輸送と使い分け、走る広告塔として広くアピールする。 宮本氏は「9月18日の式典では、初めて永年勤続者表彰を企画する。対象は勤続15年以上の社員12人で、全員設立時から会社を支えてくれた掛け替えの無い人材」と強調。全体会議でも優秀社員と優秀社員を表彰する。 人材育成面では、2トン車や4トン車で運転スキル及び商品知識を培い、その後、大型トラックへとステップアップする仕組みを整備。「先日、21歳の若者が面接に来た。即戦力としての大型トラックのドライバー確保よりも、若者を育てることに主眼を置いている」 設立以来、環境・安全・品質を重視したサービスの提供を基本に、「豊かな感性・大人な社会人」を育成してきた。15年秋からは、社会貢献事業の一環として、地元のプロバスケットボールチームのホームゲームに車椅子招待席を用意。従業員も利用できる年間シートを設け、福利厚生面の充実を図る。 「ドライバー不足が顕著になる中、物流業界に対する一般社会の認識は変化してきており、社会的地位も向上する。大型トラックによる長距離運行という戦略は変わらないものの、ドライバーを育てたり、シルバー人材を活用したりする観点から、地場や中距離輸送も必要になってくる。そのために、2トン車や4トン車、流通加工業務なども手掛けていきたい」 【写真=ラップトラが走る広告塔として広くアピール】