物流ニッポン – 全国の物流情報が集まるポータルサイト

経産省概算要求、トラック自動隊列走行 社会実験を本格化

行政

2016/09/05 0:00

 経済産業省は、トラックの自動隊列走行の社会実験を本格化させる。2017年度末までに、電子連結技術を開発するとともに、トラック3台での走行実験をテストコースで実施。最終の18年度に公道で実験できるよう、安全性や経済性、更には社会から受容されるために必要な環境を整備する。(田中信也)  8月31日発表した17年度予算概算要求で「高度な自動走行システムの社会実装に向けた研究開発・実証事業」として、16年度当初予算比11億2千万円増の30億円(内数)を計上した。  トラックの隊列走行は、運輸分野での省エネルギー推進やドライバー不足を解決するため、16年度から18年度までの3カ年で実用化に向けた社会実験を実施。遠方の歩行者や構造物などを識別する車載センサーや、電子連結技術(ブレーキを含む)などの研究開発を進めるとともに、大型車による自動走行が「世の中に受け入れられる」ための環境整備に向けた実証を段階的に進めていく。  経産、国土交通の両省が提示したロードマップ(工程表)では、21年度以降の商業運行開始に向け、16年度からシステムやビジネスモデルの具体化の検討に着手。17年度にシステム開発やテストコースでの実証を行い、18~20年度に公道での実証試験を実施する計画を描いている。  事業の初年度に当たり、開発・実証の取りまとめを行う事業者を公募し、採択。このうち、隊列走行の実証は8月に豊田通商に委託しており、近く着手する。  まずは、大型トラックメーカー4社共通の電子連結技術の開発を進める。開発状況を踏まえ、テストコースでの実証走行を実施。順調にいけば16年度中にスタートできるが、連結技術の開発状況によっては17年度にずれ込む可能性もある。  実証走行は、テストコースで連結技術などの安全性を確認後、公道に準じた専用区間、公道(高速道路など)での走行とステップアップしていくが、技術開発の動向もあり、工程表通り進むかは流動的だ。  なお、17年度予算の概算要求は、エネルギー対策など特別会計を合わせ総額1兆3201億円(9.5%増)。最先端技術への民間投資の誘発(第4次産業革命)や、中小企業・小規模事業者の活性化などに重点配分していく。  第4次産業革命関係では、自動走行のほか、ロボット、ドローン(小型無人機)、人工知能(AI)などの研究開発、基盤整備を加速。物流やインフラ点検を効率化できるロボットやドローンの実用化を世界に先駆けるため、福島県に整備するロボットテストフィールドで実証する。このため、「ロボット・ドローンが活躍する省エネルギー社会の実現プロジェクト」として、新規に43億1千万円を要望した。  中小企業の活性化では、下請取引対策による取引条件改善に向けた取り組みを強化。下請ガイドラインのフォローアップや業種特性に応じた課題解決の仕組みづくり、下請代金支払遅延等防止法の周知徹底に向けた講習会を実施するための「中小企業取引対策事業」は、55%増の15億4千万円を計上した。 【写真=来年度末までにトラック3台での走行実験をテストコースで実施(イメージ写真)】





本紙ピックアップ

国交省、約款に「置き配」など明記

 国土交通省は6月26日、再配達率の高止まりや宅配事業者の負担増加などの課題解消に向け、標準宅配便運送約款に「置き配」など多様な受け取り方法の取り扱いを明記し、普及を図っていく方針を示した。同日、有識者・関係者で構成する…

ブリヂストン、SBSに子会社譲渡

 ブリヂストンは6月30日、100%子会社であるブリヂストン物流(三好由浩社長、東京都小平市)の株式の66.6%をSBSホールディングスに譲渡する、と発表した。SBSHDは10月1日をメドに81億円(アドバイザリー費用な…

社会資本整備・交通政策計画、一体化へ共通メッセージ

 国土交通省は6月27日、社会資本整備審議会計画部会(小林潔司部会長、京都大学経営管理大学院特任教授)と交通政策審議会交通体系分科会計画部会(竹内健蔵部会長、東京女子大学教授)の合同会合を開き、社会資本整備重点計画と交通…

若松梱包、第二共配センター稼働

 若松梱包運輸倉庫(江田修一社長、金沢市)は本社中核拠点(石川県白山市)の隣接地に第二共配センターを建設し、1日から本格稼働させた。冷凍、冷蔵、常温の食品を保管する営業倉庫で、特に冷凍品の扱いでは自動ラック(7644パレ…

オススメ記事

国交省、約款に「置き配」など明記

 国土交通省は6月26日、再配達率の高止まりや宅配事業者の負担増加などの課題解消に向け、標準宅配便運送約款に「置き配」など多様な受け取り方法の取り扱いを明記し、普及を図っていく方針を示した。同日、有識者・関係者で構成する…

ブリヂストン、SBSに子会社譲渡

 ブリヂストンは6月30日、100%子会社であるブリヂストン物流(三好由浩社長、東京都小平市)の株式の66.6%をSBSホールディングスに譲渡する、と発表した。SBSHDは10月1日をメドに81億円(アドバイザリー費用な…

社会資本整備・交通政策計画、一体化へ共通メッセージ

 国土交通省は6月27日、社会資本整備審議会計画部会(小林潔司部会長、京都大学経営管理大学院特任教授)と交通政策審議会交通体系分科会計画部会(竹内健蔵部会長、東京女子大学教授)の合同会合を開き、社会資本整備重点計画と交通…

若松梱包、第二共配センター稼働

 若松梱包運輸倉庫(江田修一社長、金沢市)は本社中核拠点(石川県白山市)の隣接地に第二共配センターを建設し、1日から本格稼働させた。冷凍、冷蔵、常温の食品を保管する営業倉庫で、特に冷凍品の扱いでは自動ラック(7644パレ…

Share via
Copy link
Powered by Social Snap