物流ニッポン – 全国の物流情報が集まるポータルサイト

改善基準通達改正1年、航送実績「一進一退」 余裕ある運行可能に

行政

2016/08/29 0:00

 「以前と比べ余裕を持った運行計画が立てられるようになった」「フェリー利用の問い合わせは多くなったが、『実需』に結び付いていない」。フェリー乗船時の拘束時間2時間を休息期間とする改善基準告示の通達が改正されてから9月1日で1年になるが、トラック業界とフェリー業界の「思惑」は一致していない。北海道運輸局の統計によると、北海道―本州の中・長距離フェリーのトラック航送実績は一進一退を続けている。(北原進之輔、那須野ゆみ、高木明)  「苫小牧(北海道)-八戸(青森)航路の利用で、大変助かっている。乗船時間は8時間で、下船後(休息を取らずに)すぐに走れる。ドライバーは余裕を持って運転できる」(札幌定温運輸の伊藤邦博社長)  「長距離は大半を無人航送しているが、最も助かっているのは苫小牧-八戸航路だ。運行計画、労務管理の面で楽になった」(北海運輸の沢本一輝社長)  労働環境の改善に積極的に取り組むトラック事業者の関心は高い。本州向けのフェリー航路の乗船(航海)時間は海峡フェリーなどを除き、大半が10時間以上で、通達が改正される以前から連続8時間の休息期間を確保できていた。  しかし、乗船時間が8時間の苫小牧-八戸航路では、下船後すぐ乗務・運転できるようになり「利便性」が高まった。青函航路の休息期間が2時間から4時間になったことによる効果も大きいという。  地元では「2時間の拘束時間が休息期間になったのは、月間拘束時間293時間を守る上で、かなりのメリットとなる。フェリーの利用頻度の高い事業者や293時間を超えていた事業者は、助かっただろう」との声が多い。  北運局によると、北海道―本州の中・長距離フェリーのトラック航送実績はほぼ前年並みで、直近6カ月(15年11月~16年4月)は前年同期比2.7%減の28万9300台で推移している。  苫小牧-八戸航路の川崎近海汽船では「4~6月のトラック航送は微増だったが、便数減を考慮すれば1隻当たりの乗船率は向上した。だが、思ったほど上向いていない。景気低迷による荷動き不振もあるのだろうが、必ずしも実需には結び付いていない」(友井彰彦常務)と複雑な表情だ。 【写真=苫小牧―八戸航路では、下船後すぐ乗務・運転できるように(苫小牧港)】





本紙ピックアップ

特定技能1号開始1年、大手~中小で採用進む

 自動車運送業分野特定技能1号評価試験が始まって1年が経過した。トラックは4304人が国内外で受験し、3054人が合格。大手、中堅に加え、中小規模の運送事業者が特定技能制度を活用して外国人ドライバーを採用する事例が各地で…

「危険運転致死傷罪」適用要件見直し、飲酒・速度超過に基準    

 法務省は、飲酒や大幅な速度オーバーなど悪質運転による交通事故を厳罰化するため、危険運転致死傷罪の適用要件として数値基準を盛り込んだ自動車運転死傷行為処罰法の改正案を明らかにした。9日、法制審議会の刑事法(危険運転による…

国交省/次期安全プラン、走行距離当たり件数を指標に

 国土交通省は、2026年度からスタートする次期事業用自動車総合安全プラン(26~30年度)の死者数、人身事故件数などの目標値について、適切に評価できるよう総走行距離当たりの件数を指標として用いる。目標設定対象の業態に関…

グリーン物流優良者表彰、ドラッグストア納品効率化         

 国土交通、経済産業の両省は8日、2025年度グリーン物流パートナーシップ優良事業者表彰の受賞者を決定した、と発表した。国交大臣表彰には、宅配拠点と物流DX(デジタルトランスフォーメーション)を活用したドラッグストアの店…

オススメ記事

特定技能1号開始1年、大手~中小で採用進む

 自動車運送業分野特定技能1号評価試験が始まって1年が経過した。トラックは4304人が国内外で受験し、3054人が合格。大手、中堅に加え、中小規模の運送事業者が特定技能制度を活用して外国人ドライバーを採用する事例が各地で…

「危険運転致死傷罪」適用要件見直し、飲酒・速度超過に基準    

 法務省は、飲酒や大幅な速度オーバーなど悪質運転による交通事故を厳罰化するため、危険運転致死傷罪の適用要件として数値基準を盛り込んだ自動車運転死傷行為処罰法の改正案を明らかにした。9日、法制審議会の刑事法(危険運転による…

国交省/次期安全プラン、走行距離当たり件数を指標に

 国土交通省は、2026年度からスタートする次期事業用自動車総合安全プラン(26~30年度)の死者数、人身事故件数などの目標値について、適切に評価できるよう総走行距離当たりの件数を指標として用いる。目標設定対象の業態に関…

グリーン物流優良者表彰、ドラッグストア納品効率化         

 国土交通、経済産業の両省は8日、2025年度グリーン物流パートナーシップ優良事業者表彰の受賞者を決定した、と発表した。国交大臣表彰には、宅配拠点と物流DX(デジタルトランスフォーメーション)を活用したドラッグストアの店…

Share via
Copy link
Powered by Social Snap