昭和貨物、小ロット・多頻度対応 長期的視点で若手育成
物流企業
2016/08/29 0:00
【鹿児島】昭和貨物(加納嘉一郎社長鹿児島市)は、鹿児島、宮崎の両県に計6拠点を置き、2トン、4トン車を大限に駆使した配送力で、メーカーや小売りの商品供給を支援。人口減少や企業の在庫圧縮を背景に、小ロット・多頻度化が進む輸送ニーズに対応していく。長期的な視点で若手ドライバーを育成する教育プログラムを導入し、将来を見据えた事業戦略を描く。(上田慎二) 全保有車両は248台。2トン車101台、4トン車52台をはじめ、冷凍・冷蔵車ユニック車ピアノ専用車軽貨物ライトバンなどで精密機械、建設資材、引っ越しなど多様な貨物を取り扱う。 大手建材メーカーの物流業務では、福岡県にある荷主企業の拠点センターから、鹿児島市、宮崎市、宮崎県都城市の自社営業所へ大型車で横持ちし、2トン車に積み替え、南九州エリアの建設現場、販売店に納める。この際、発・着荷主と集配スケジュールを綿密に打ち合わせし、拘束・手待ち時間を抑えている。 また、百貨店の贈答品配達やホテル、病院のリネン輸送も請け負う。加納潤一専務(58)は「中型車の需要は堅調だ。年末年始や大型連休の繁忙期には中元、歳暮の配達や観光関連の輸送で、2トン車の需要が増える」という。スペースが限られる市街地の引越作業では、小回りの利く2トン車が活躍している。住宅地などの入り組んだ現場で強みを発揮、狭い敷地やコインパークにも駐車しやすい。 1カ所の現場に複数の小型車を投入。積み込み、待機、駐車時の安全性に配慮し、作業を進める。引越事業者優良認定(引越安心マーク)は取得済みで、専門研修を受けた社員を中心に効率的な作業で仕事の回転率を上げ、繁忙期でも高い輸送品質を保つ。 最近の転勤は、単身の引っ越しが目立ち、小口化が進んでいる。「昔のような家族ぐるみの引っ越しは減少傾向にある。家財を丸ごと大型車に載せて運ぶような仕事は減った。2トン車の方がこうしたニーズにマッチし、無駄も少ない。3月のピーク時にはレンタカーを含めて臨時増車する。やはり2トン車を借りるケースが多い」 更に、事務所移転作業後の家具・ОA機器設置サービスにも力を入れている。専属チームを設け、コピー機やパソコンの設置、設定までを担う。大型ラックなどを据え付ける技術者も育成した。 また、若手ドライバーの確保、育成に力を注ぐ。面接では就職のミスマッチを防ぐため、会社と本人がドライバーとしての適性をしっかり確認し合う。採用後は、普通自動車免許で運転できる軽貨物ワゴン車(乗用車)から入り、センタ―作業で業務知識を学ぶ。 大型ドライバーへのステップアップは、長距離のベテランドライバーの補助員としてスタート、大型車に同乗し、長距離輸送を体験する。次に、中型車で長距離運転をしてノウハウを習得。中型、大型自動車免許の取得を援助し、長期的観点で大型ドライバーを育てる教育プログラムを整えた。 信頼、誠実、感謝をモットーに技術としての輸送を更に充実させ、地元に愛される地域密着型の経営に取り組む方針だ。 【写真=南九州を中心に2トン、4トン車を最大限に駆使】