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山陽道多重衝突事故、運賃改善「不可欠」 模範的な運行管理徹底を

物流企業

2016/08/25 0:00

 山陽自動車道で多重衝突事故を起こしたトラック事業者の統括運行管理者が16日、道路交通法違反(過労運転の下命)容疑で広島県警に逮捕された。運行管理者が逮捕され、かつ新聞やテレビなどのメディアに報じられるケースは珍しく、事故の社会的影響の大きさがうかがえる。国土交通省は、既に同社に対して行政処分を行っており、新たな違反事案が発覚しない限り追加の対応は取らない方針だが、過労運転に対する行政処分の更なる厳罰化や、トラック事業の取引環境・労働時間改善などに波及する可能性は高い。(田中信也、佐々木健、北原秀紀)  逮捕されたのは、ツカサ運輸(旧ゴーイチマルエキスライン、後藤義雄社長、埼玉県川口市)の取締役で統括運行管理者の後藤隆司容疑者(41)事故を起こしたドライバーの皆見成導被告の過去の運行記録などから、後藤容疑者が「被告に十分な休息を与えないまま連続勤務をさせた場合、疲労蓄積により、正常な運転ができない」ことを認識しながら、運転を命じた疑い。また、埼玉労働局川口労働基準監督署も同日、ツカサ運輸と後藤容疑者を労働基準法違反の疑いで、さいたま地方検察庁に書類送検した。  ゴーイチマルエキスライン(当時)に対しては、事故発生(3月17日)の翌18日から5月12日にかけて関東運輸局が特別監査を実施。その結果、乗務時間告示の順守、健康状態の把握義務など15件に関する違反が認められたことから、関運局は6月24日、事故を起こした本社営業所に対し7日間の事業停止と120日車(5台×24日)の車両停止の行政処分を行った。  運輸当局と捜査当局は、情報共有など相互に連携を図っており、今回の運行管理者の逮捕につながった。ただ、社会的な影響の大きさを踏まえ、行政処分を早急に進めたため、3カ月ほどのズレが生じた格好だ。  労基法違反に関しても相互通報に基づき、逮捕と同日の送検となった。既に事業者は行政処分を受け、後藤容疑者も同時に運行管理者資格者証を返納している。このため、「新たな違反事案が発覚しない」(国交省自動車局安全政策課)限り、労基側は運輸局側に通報せず、もし通報があったとしても新たな処分にはならない見通しだ。  同社では、埼玉県から九州方面への運行を担当していた皆見被告のような長距離運行のドライバーと、近距離の輸送を担うドライバーがいた。このため、「30日間の即刻事業停止」の要件である「1カ月間で31件以上が3人以上、かつ過半数の運転者が告示に規定する拘束時間を未順守」には抵触しなかった。  今回、運行管理者が逮捕されたことで、事業者側の責任は再びクローズアップされると予想されるただ「運行管理者の責任を立証することは難しい」(平井隆志・自動車局安全政策課長)とみられる。  行政手続きの専門家で、トラック事業者を多く扱う行政書士や社会保険労務士は今回のケースをどうみているか。  高山正孝氏は「過労状態のドライバーに、埼玉県から大阪より先までの長距離運行を下命することは、限界を超えた運行で、過労運転の行政処分が厳しくなるのは仕方ない」と指摘。一方、「売り上げを上げるため、厳しい取引環境にあって荷主にモノを言えない中、厳しい運行でも疑問を抱かずに動くこともある」と、トラック事業者の現状に理解を示し、「行政処分の強化だけでなく、取引条件や運賃の改善が不可欠」と話す。  瀧澤学氏は「長時間労働をさせているのは運行管理者ということになるので、事業者は模範的な運行管理を徹底し、大きな事故を防止するよう努めなければならない」と強調。その上で、「多くの事業者はデジタルタコグラフなどを活用し、労働時間、運転時間の短縮に取り組んでいるものの、コストに見合う運賃・料金を収受できないことには(管理には)限界がある。取引条件と労働環境の改善に取り組むべき」としている。  長野県軽井沢町でのスキーツアーバス事故を契機として、貸切バス事業者に対しては、事業停止、事業許可取り消し(即刻取り消し)処分の対象を拡大する新制度が導入される。当該の運行管理者や事業者(ツカサ運輸)へのこれ以上の責任追及は無くとも、トラック事業者の監査・行政処分制度の強化につながる公算は大きい。ただ、両氏が指摘するように、厚生労働省と連携して進めている取引環境・労働時間の改善の実現なくして、抜本的な解決にはつながらないだろう。 【写真=ツカサ運輸は、本社営業所が7日間の事業停止などの処分に】





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