今井運送など、スイッチ輸送 提携拡大 ドライバー不足 荷主に理解求め
物流企業
2016/08/22 0:00
重量物輸送の今井運送(高西宏昌社長、広島県廿日市(はつかいち)市)は、トレーラシャシーを中間地点で交換するスイッチ輸送の提携先を広げている。ブルーペッパー(堂下久泰社長、群馬県太田市)とスタートさせたのは2015年5月だが、静岡・広島・山口の各県のトラック事業者5社とも取引が始まった。経営者や管理者が月に1回集まって輸送会議を開き、フラットな関係で、スイッチ輸送の拡大に取り組んでいる。(江藤和博) 参加事業者に共通しているのは「ドライバー不足の深刻さを荷主は本当に分かっていない」という危機感。トラック業界にスイッチ輸送を広げることで、荷主の間に真の意味での理解を求めていく考えだ。 今井運送とブルーペッパーのスイッチ輸送は、ブルーペッパーの親会社が奈良市に保有する物流センターで相互のトレーラシャシーを交換し、発地に戻る仕組み。伝票や注意事項などの書類をファイルにまとめ、双方のドライバーが交換。また、引き継ぐシャシーの荷物を目視で互いに確認し、口頭で注意事項などを伝え合う。 今井運送の今井廣志常務は「スタート以来の推移は順調。荷主も協力的で、信用が出来上がりつつある」と話す。 中継地点でシャシーを交換する方式は、事故を心配してちゅうちょするトラック事業者も多い。今井運送のスイッチ輸送では、荷物事故の場合、発生地点に近い方の事業者が現場に行き、初期処理を行う取り決めだ。損害賠償は、一方に全面的な責任がある場合を除いて折半で負担し合う。また、交通事故は双方がそれぞれ対応する。こうした取り決めで、「今のところ大きなトラブルは発生していない」という。 スイッチ輸送の提携先は、他のトラック事業者にも広がっている。皆実運送(木下景太社長、広島市南区)、高野山運輸(笹谷澄雄社長、同市中区)、親陽運送(三紙庄一社長、廿日市市)の岩国営業所(山口県岩国市)に加え、関東や中京地区の事業者も参加。関西―九州、岩国―九州などの区間でスイッチ輸送を行っている。 今井氏は「メンバーの会社同士は、荷主になることもあれば輸送依頼を受けることもある、対等な関係。上下関係無しに運営している」と話す。 8月5日に今井運送本社で開いた3回目のシャシー・スイッチ輸送会議では、岩国―関東の輸送で神戸市を中継拠点とするスイッチを検討。8月中に6回実施することを決めた。中継地点から関東へは中京地区の事業者が、九州へは今井運送などが輸送を請け負う。 【写真=輸送会議で活発に意見を交わす(5日)】