三重海運、「巨大風車」荷揚げ 発電設備118メートル290トンを14基
物流企業
2016/07/21 0:00
【三重】三重海運(羽田正社長、三重県松阪市)は6月上旬から、松阪港(同市)で風力発電設備の荷揚げ作業を行っている。高さ118メートル、重量300トン近い「巨大風車」を何基も荷揚げし、輸送するプロジェクトに参加したもので、羽田社長は「初めての仕事で苦労も多いが、良い経験になっている。我が社と松阪港のPRにつなげたい」と話している。(星野誠) 電力会社、エネルギー関連企業、総合商社などが出資するエコ・パワー(萩原宏彦社長、東京都品川区)は、三重県度会わたらい町で風力発電施設「度会ウィンドファーム」を建設している。発電設備の輸送は日本通運が元請けとなり、河西運輸(福地達明社長、和歌山市)が陸上輸送、三重海運は松阪港での荷揚げ作業をそれぞれ担当。 発電設備は、茨城県日立市、中国、韓国から、海路で運ばれてくる。輸送のためパーツ単位に分かれているものの、風車を構成する3枚のブレード(羽根)は、1枚の重量が8.5トン。中核となる発電装置は40トン、回転軸は38トンで、4分割された支柱、全体を支える土台なども加えると、1基分の総重量は290トンに及ぶ。 三重海運はトラック運送に加え、松阪港で唯一の港湾事業者として、荷役作業を担ってきた。ガラス、金属など原材料関係の荷揚げでは豊富な経験とノウハウを持つが、「巨大風車」は未知の分野。羽田氏は「2年前に受注した時は仕事が増えたと単純に喜んでいたが、実物を見て大きさに驚いた。我が社が請け負うのは水切り(荷揚げ)だけだが、過去に経験したことの無い種類の荷物なので、改めて気を引き締めた」と振り返る。 事前の準備にも、予想外の時間がかかった。松本武巳業務部長は「大きなパーツをいくつも仮置きする広大なスペースを確保する必要があった。また、大型クレーンを設置するには岸壁の強度が不足していたため、県の許可が下りるまで8カ月もかかった」と明かす。松本氏らスタッフの頑張りもあって、6月中に7基分の荷揚げが完了。発電設備のパーツは松阪港の高速船乗り場近く置かれ、順次、度会町の現場に輸送されている。8、9月に残り7基分を荷揚げし、14基分全ての作業が終わる。 羽田氏は「風力発電施設は今後、海上設置に移行すると聞いた。今回の仕事はいったん終わるが、我が社と松阪港にとっては大きな実績になった。松阪港で大型重量物の荷揚げが可能となれば、工作機械メーカーなどへの需要も出てくる。この貴重な経験を、文字通り『追い風』にしたい」と力を込める。 【写真=荷揚げされた風力発電設備のブレード】