物流ニッポン – 全国の物流情報が集まるポータルサイト

物流審議官 就任会見、生産性向上へ新機軸必要 宅配ロッカー設置を推進

行政

2016/07/14 0:00

 国土交通省の重田雅史物流審議官(56)は11日、就任会見を開き、「物流の生産性向上にはイノベーション(新機軸)が必要」とした上で、新商品・サービス開発はもとより、新市場開拓や新業務体制の構築など、様々な取り組みを促すため、「(物流審議官部門が)良き触媒になる」と抱負を述べた。  石井啓一国交相が方向性として打ち出した「生産性革命」について、「物流でもこれを形にすることがミッション」と断言。生産性を向上するには「労働時間削減など業務を効率化するか、付加価値額を高めるかのどちらかが必要」とした上で、北米のようなIT(情報技術)・自動化、欧州諸国に多いサービスの付加価値向上という「それぞれのスタイルの良いところを取り入れることでイノベーションにつなげたい」と述べた。  また、「物流では労働力不足を克服し、経済成長に貢献するため、成長の加速と暮らしの向上に向けた施策を推進し、労働生産性を2割向上させることが目標」とした上で、省内部局や官民の連携で新たな取り組みを推進していくことを強調。事例として、再配達削減と利用者の利便性向上の両立を目指した宅配ロッカーの設置や、インバウンド(訪日外国人)増加に対応した「手ぶら観光」などを挙げた。  5月に成立した改正物流総合効率化法に関しては「モーダルシフトをはじめとした物流効率化の取り組みがどこで起きているか、対象事業を全国で掘り起こし、アピールしていきたい」と意気込みを語った。  アジア各国の物流行政との連携については、日中韓物流大臣会合で検討し、実現している「シャシーの相互通行など物流のシームレス化により、業務がやりすくなっている」と言及。年2、3カ国のペースで進めている物流政策対話に関しては「今秋にミャンマーと実施するほか、民間物流事業者のニーズを踏まえ、もう1カ国と行いたい」とした。  1983年に旧運輸省に入省以来、航空、鉄道、海事、観光など様々な部門を経験しているが、物流分野は86年から3年半にわたり配属され、物流2法の制定に携わった貨物流通局政策課以来、26年ぶり。重田氏は「(規制緩和前は)路線と区域の区分がフィットしなくなり、様々な問題が生じていたため、事業者が収益を上げ、ビジネスチャンスを拡大するには、区域事業廃止などの(物流2法施行による)規制緩和は間違っていなかった」と強調。ただ、「(今にして思うと)監査体制をもっと厳しくすべきだった」と話し、「安全性確保の面では課題があるので、物流セクションとしてやれることがあれば、自動車局と連携して取り組みたい」とした。(田中信也) 【写真=「労働時間削減など業務を効率化するか、付加価値額を高めるかのどちらかが必要」と重田物流審議官】





本紙ピックアップ

フジHD、整備工場28カ所→50カ所

 フジホールディングス(松岡弘晃社長、東京都港区)は3年以内をメドに、グループの整備工場を現行の28カ所から50カ所に増やす。拠点や車両数の増強も図っていくが、整備拠点の拡充を優先し、安定した輸送サービスの提供につなげる…

日野・ふそう、生産拠点を3カ所に集約

 経営統合を進める日野自動車と三菱ふそうトラック・バス(カール・デッペン社長兼CEO=最高経営責任者、川崎市中原区)は、2026年4月からの持ち株会社体制への移行に伴い、日本国内に5カ所ある生産拠点を3カ所に集約する。併…

経産省、AIロボティクス戦略骨子

 経済産業省は8日、AI(人工知能)ロボティクス戦略の方向性の骨子を取りまとめた、と発表した。対象範囲のほか、AIの高度化やSDR(反響型インサイドセールス)の潮流を踏まえたサプライチェーン(SC、供給網)の在り方、先行…

富士ロジテックHD、「地域集中戦略」加速

 富士ロジテックホールディングス(鈴木庸介社長、静岡市葵区)は、神奈川県の一部エリアで物流拠点の開設を推進する「地域集中戦略」を加速させる。10月から、厚木市で「厚木三田第2ロジスティクスセンター」が本格稼働。県内の拠点…

Share via
Copy link
Powered by Social Snap