大塚倉庫、退勤時間を見える化 働き方「見直し」促す
物流企業
2016/06/30 0:00
大塚倉庫(浜長一彦社長、大阪市港区)は全社的な残業時間の削減に取り組んでいる。ワーク・ライフ・バランス(仕事と生活の調和)を推進する施策の一環で、全事業所の最終退出者をネット上で一覧できる態勢を構築。事業所単位の退勤時間を見える化することにより、長時間労働を前提とした働き方の見直しを促している。(沢田顕嗣) 残業時間を削減する方針は2015年6月から打ち出し、代表電話は一定時刻を過ぎると留守番電話に切り替わるように設定。退勤時間が遅いことを理由とした罰則などは課していないが、仕事を互いにカバーし合うチームスピリットの醸成にもつながり、定時退社率がアップしている。更に、15年度の有休休暇取得率(10日間以上)も14年度比で5ポイント増の42%に上昇したという。 定時退社で生まれた時間を有効活用するため、社内のサークル活動も奨励している。阿波踊り、カーリング、釣りなど事業所単位で様々なサークルが誕生しており、浜長社長はランニング部に所属している。 こうした取り組みは社内に限定したものではなく、対外的には荷受け時間の予約制を15年11月から採用。同社が注力している「ID運輸」の延長線の取り組みと位置付け、納品時間を事前に取り決めることにより、ドライバーの労働時間短縮に寄与する。待機時間の解消に結び付くため、車両回転率の向上も見込めるとしている。 浜長氏は「終わりの時刻を意識することで、仕事のやり方が目に見えて変わってきた。残業代をカットするのが目的ではなく、私生活を充実させることが仕事にも良い影響を与えるという考えに基づく。仕事以外の時間も大事にしよう、という提案でもある。属人的な仕事のスタイルを考え直す契機ともしたい」と話している。 【写真=ランニング部のメンバーと共に記念撮影に臨む浜長社長(前列右から2人目)ら】