山陽道多重事故、510エキス事業停止7日間 皆見被告 発生前に数回告示違反
物流企業
2016/06/30 0:00
関東運輸局は24日、山陽自動車道で多重衝突事故を起こしたトラックを運行させていたゴーイチマルエキスライン(後藤義雄社長、埼玉県川口市)に対し、本社営業所の7日間の事業停止と、120日車(5両×24日)の車両使用停止の行政処分を命じた。 3月17日、広島県東広島市の山陽道下り線の八本松トンネル内で、皆見成導被告の運転していたトラックが渋滞中の車列に追突して、5台が炎上。トラックを運行させていたゴーイチマルエキスラインに対し、同18日から5月12日に特別監査を実施した。 その結果、①乗務時間告示の順守違反②健康状態の把握義務違反③点呼の実施義務違反④初任運転者に対する適性診断受診義務違反⑤事業計画の変更認可違反――など15件の違反が認められた。貨物運送事業者に対する行政処分などの基準に基づき、事故を起こした本社営業所を7日間の事業停止と120日車の車両停止処分とした。 皆見被告については、事故発生の前月に複数回の乗務時間告示違反があり、いずれも事故発生の時と同様、埼玉県から九州方面への長距離運行であることが分かっている。長時間運転が常態化していた可能性が大きい。 ただ、15年1月に導入された30日間の即刻事業停止の要件である、運行管理者・整備管理者の未選任や名義貸しには該当せず、「乗務時間の基準に著しく違反」に関しても「1カ月間で31件以上が3人以上、かつ過半数の運転者が告示に規定する拘束時間を未順守」に抵触しなかった。 なお、貸切バス事業者に対しては、1月に発生した長野県軽井沢町でのスキーツアーバス事故の再発防止対策として、①複数回にわたり法令違反状態を是正・改善しない②死亡事故など社会的に重大な影響を及ぼした 事業者に対し、事業停止、事業許可取り消し(一発取り消し)処分の対象とする厳しい新基準を提示。関係通達の改正により今年中に導入する予定だ。 トラック事業者は対象外だが、仮にゴーイチマルエキスラインと同様の事例が貸切バス事業者であった場合、「社会的に重大な影響」に該当する公算は大きい。(田中信也) 【写真=ゴーイチマルエキスラインの本社営業所】