金融庁、企業間決済を効率化 官民会議が初会合
行政
2016/06/13 0:00
金融庁は8日、企業間決済の効率化を目指す官民連携会議を発足させた。大量の情報を処理できる新たなシステムで、決済時に発生する企業の業務負担を減らす。2018年をメドに新システムを導入し、20年にも現行の仕組みを廃止。中小企業が任意で利用できる方法も検討する。 同日、決済高度化官民推進会議(森下哲朗座長、上智大学法科大学院教授)の初会合を開催。委員には、全国銀行協会(国部毅会長)や日本商工会議所(三村明夫会頭)からも参加している。 現行の企業間決済では、支払企業から金融機関への振り込み依頼や金融機関から受取企業への入金通知について、使用できる明細情報が半角20字までと制限がある。情報量に限りがあるため、受取企業が請求通り回収できているか調べる「消し込み作業」などで業務負担が発生していた。 新たな仕組みでは、はん用的な仕様「XML」を活用した方式を採用。大量の情報を扱えるため、受取企業の消し込み作業や、支払企業の受取企業からの照会対応などで効率化される見込みだ。 全銀協によると、流通業界と自動車部品業界での実証実験では、受取企業側で年間400~9千時間の合理化が確認された。 対象となる取引は、インターネット回線などを利用して、複数の振り込みを銀行に依頼する「総合振込」を想定。ただ、総合振込を行わない中小企業でも低負担でシステムを利用できる方法も検討する。 既に、関係者が2月に検討会を設置しており、議論を進めている。官民連携会議では、XMLの活用を含めた複数の決裁効率化に向けた取り組みについて、検討状況をフォローアップしていく。 初会合では、委員の一人が「労働力不足の中、企業の生産性向上は必須。新システムへの移行を契機に入金の自動化が実現すれば、中小にとっても前進になる」と指摘。一方、「XMLは理解すれば大きな効果になるが、理解している企業が少ない」との意見が出るなど、システムの周知を求める声も上がった。(土屋太朗) 【写真=18年をメドに大量に情報処理できる新システムを導入】