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熊本地震2カ月 九州道、対面通行続く 復旧 緒に就いたばかり

物流企業

2016/06/13 0:00

 熊本地震発生から2カ月――。発生直後は政府による「プッシュ型」輸送で支援物資が次々と届いていたが、現在は、熊本市東区の集積所から全ての物資が撤収された。路面崩落で九州南北が寸断された九州自動車道の1区間で1車線の対面通行が続いているものの、サプライチェーン(供給網)は5月の連休明けから回復に向かった。しかし、震度7が直撃して損害を受けたトラック事業者の中には、これから補修工事に着手するところが少なくなく、復旧は緒に就いたばかりだ。(武原顕)  全国からの支援物資であふれた熊本県民総合運動公園陸上競技場(KKWING、熊本市東区)の集積所に保管されていた簡易トイレや生理用品、トイレットペーパー、飲料水などの全ての支援物資は6月11日までに撤収、県指定の備蓄倉庫(八代市)に移管された。  熊本県トラック協会の住永豊武会長(72)は「プッシュ型の物資輸送は、被災地で支援物資の不足を生じさせず、大きな成果を上げた。福岡、佐賀の両県から供給する広域的な仕組みも効果的だった。ただ、避難所へのデリバリーについては、大きな課題が残った」と振り返る。  当初、政令市の熊本市は、KKWINGから市内5カ所の区役所に設置した集積所を経由し、物資を避難所に運ぶ仕組みを指示したが、うまく機能しなかった。熊ト協がKKWINGから直接避難所に届ける流れを提案し、4月25日から直送体制が採用され、流れはスムーズになった。  プロのノウハウや東日本大震災の教訓が生かされ、トラック業界の役割がクローズアップされた。だが、発生直後は、熊ト協の職員が昼夜を問わず慣れない配車業務に忙殺され、それは会員事業所2社に窓口を移行するまで、2週間近く続いた。  一方、九州道の路面崩壊による物流の南北寸断は、サプライチェーンに大きな影響を与えた。地震の前の3月24日、北九州─宮崎で全線開通した東九州自動車道だが、熊本交通運輸(住永金司社長、熊本県益城町)の菅原俊史常務(47)は「大きな迂回(うかい)を強いられるため利用できなかった」と話しており、代替機能は十分には果たせていなかったようだ。  現在、九州道・益城熊本空港インターチェンジ(IC)─嘉島ジャンクション(JCT)で1車線の対面通行が続いている。朝夕の時間帯は30分程度のロスがあるが、自動車、電機、半導体、飲料、製紙など大手メーカーの工場が集積している上、農水産物、畜産業の全国有数の生産地だけに、早期開通による物流への効果は大きい。  トラック事業者の社屋や事務所の復旧工事については、これからのところが少なくない。益城熊本空港ICに隣接するランテック熊本支店(益城町)では、冷凍冷蔵倉庫の被害は回避され、物流機能は止めなかった。  2階事務所は建物内部が全壊して機能不全に陥ったが、敷地内にプレハブの仮設事務所を設置し、業務を継続。6月中旬から数カ月間、補修工事に入る。  同支店の中島陽一郎課長(42)は「建物に被害があったものの、情報通信が正常に動いたことや本社を始めとした全社的な支援で、阿蘇地域など一部地域の集配を除き、サプライチェーンに大きな混乱は無かった」と説明する。  AZUMA(上田裕子社長、嘉島町)では、社員2人の自宅が全壊し、1人は半壊した。倉庫の一部が破損し、燃料のインタンクは傾いて、今でも給油できない状況が続く。  上田社長は「御船町、嘉島町と災害時の緊急物資輸送、防災の協定を調印した矢先に地震が発生した。社内で保管していた4トン車2台分の飲料水を提供し、その後は協定に基づいて、24時間態勢で被災地支援に動いた。今後、被災した社員を含め、出来る限りの生活支援に努める」と語る。  また、赤帽熊本県軽自動車運送協同組合(岡本千代門理事長)では、組合員の事務所や自宅で全壊5件、半壊10件、一部損壊26件と被害は大きい。岡本理事長(69)は「今後、自治体と災害救援物資輸送等の連携を強めていく。小回りの利く赤帽の強みを生かし、指定避難所以外で生活している住民の支援体制を構築したい」という。  熊本交通運輸でも、益城物流センター倉庫(益城町)、輸送団地倉庫(同)、鏡営業所倉庫(八代市)の事務所、倉庫が損壊したが、稼働は続けた。「発生直後、益城物流センター倉庫は1週間稼働がストップしたが、荷主企業の協力を得て再稼働は早かった」(菅原常務)。3カ所の物流センターは7月末までに修復を終える見込みだ。  今後、公的支援制度や社内融資制度、金融機関の低利融資、災害見舞金――などを活用する一方、疲労が蓄積している従業員の労働環境の整備、待遇面も含めた生活支援への取り組みが始まる。 【写真=九州道益城熊本空港IC─嘉島JCTの崩落現場。1車線の対面通行となっている(7日)】





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