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福通、小口混載サービス強化 日本向け ASEAN拠点活用

物流企業

2016/06/06 0:00

 福山通運は中国・香港及びASEAN(東南アジア諸国連合)諸国から、日本向けに小口混載貨物を輸送するサービス「スター・プライオリティー・エクスプレス」(SPE)の販売を強化する。また、5月31日にマレーシアに本拠を置く中堅物流会社、E・Hウタラホールディングス及びグループ会社3社の発行株式49%を取得し、傘下に収めたことに伴い、トラックで国境を越えて運ぶ「クロスボーダー輸送」を展開。AEC(ASEAN経済共同体)、TPP(環太平洋経済連携協定)の発効などをにらんだ対応で、国際物流需要を取り込んでいく。(高木明)  中国及びASEAN諸国の8カ国・25拠点を活用し、海上輸送による現地発・日本向けの小口混載輸送サービスの拡販に注力する。国内の通関業務と特積輸送網を結び、中国・上海から大阪向けが最短3日、東京は4日目、カンボジア(プノンペン)からは大阪、東京とも12日目に配達する。  現在、上海から大阪・東京向けは週に各3便、香港から大阪、東京向けが2便、カンボジアからも1便が定期運航されている。福通では、各便いずれも自社仕立てによる海上コンテナ3、4個(40フィートコンテナ)を積んでいる。「情報管理の一元化を含め全輸送工程を自社管理することで、低コスト・短リードタイムを可能にした。引き続き、アセアン諸国を中心にSPEサービスの拡大に取り組む」(岡本泰・執行役員国際部長)また、3月に発表していたE・HウタラHDグループの買収では5月31日、クアラルンプールのウタラHD本社で、小丸成洋社長、リム・トニーCEO(最高経営責任者)らが出席、株式の譲受・譲渡の調印式が行われた。所有比率は外資規制などにより過半数に満たないが、実質的な経営権を取得した。  ウタラHDグループはマレーシアの他、タイ、カンボジア、ベトナムの3カ国に事業拠点を配置。主力事業はクロスボーダー輸送で、フォワーディング、倉庫事業も手掛ける。トラック230台、コンテナ340個(40フィートコンテナ)を保有し、タイ-マレーシアのクロスボーダー輸送では1割超のマーケットシェアを持つ。売上高は約15億円(連結、2015年8月期実績)。  福通では、輸送力の強化やハブ輸送基地の再整備などを行い、現地での陸上クロスボーダー輸送を本格展開していく。通常タイ(バンコク)-シンガポールは海上輸送で9日(通関含む)かかるが、陸上輸送なら4日で届けられる。  国際物流事業の16年3月期の売上高は60億円。小丸氏は「AECやTPPの発効など、クロスボーダー輸送や小口混載輸送はともに伸びが期待できる市場だ。早期の売上高100億円達成を目指していく」と話している。 【写真=調印式に臨む小丸社長(左から2人目)とE・HウタラHDのリム・トニーCEO(その右)ら】





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