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再雇用者賃金格差違法判決、労働条件見直し迫る 同様事例続く可能性

行政

2016/05/30 0:00

 定年退職後に再雇用したドライバ―の賃金を、退職前と同様の業務内容にもかかわらず引き下げたのは違法――とした判決は、トラック業界に波紋を広げている。賃金カットを条件に入れた再雇用契約を定年退職後のドライバーと結び、継続雇用するトラック事業者は多い。一方、専門家からは判決を「妥当」とする声が出ており、今後、今回のような事例が続出する可能性がある。判決の行方によっては、経営者は再雇用者との労働条件の見直しを迫られるそうだ。(土屋太朗、北原秀紀)  東京地裁(佐々木宗啓裁判長)が13日、セメント輸送などを手掛ける長沢運輸(長沢尚明社長、横浜市鶴見区)に対し、ドライバー3人へ総額400万円以上の支払いを命令。同じ業務内容にもかかわらず賃金を3割減らされた――として、正社員との格差是正を訴えるドライバー側の主張が認められた。  判決では、賃金格差を設けるのは「特段の事情が無い限り、不合理」と判断。業務内容や責任の程度に正社員との違いが無かったことが要因となった。  これについて、東京さくら法律事務所の小柴一真弁護士は「裁判所は、労働条件に差異がある場合、その合理性を認めるには労働内容に差があるかどうか――という観点で判断し、再雇用かどうかといった、労働内容に直接関係しない事情は要素にはならないと考えている」と分析。その上で、「物流業界のみならず、全ての業界に労働契約の在り方について警鐘を鳴らす大きな意味を持つ。業界を問わず、同種の訴訟が続くことも予想される」と指摘する。  保険サービスシステム第三コンサルティング部部長で、特定社会保険労務士の馬場栄氏は「法律の趣旨を考えると妥当な判決だ」と言及。労働力不足という業界の現状を踏まえ、「事業者の多くは定年退職者を再雇用しなければならない。再雇用契約を結ぶ際には、『職務内容を変えずに給料を据え置きにする』『労働時間を短くして給料を下げる』など会社側はいくつか提案し、ドライバーに選択してもらった方が良い。半強制的に結ばせると、無用な問題を誘発する」と警告する。  事業者側が労働力不足を理由にドライバーを必要としている一方、定年退職者側も継続して働くことを求めている。特定社会保険労務士の奥山恵一氏は「現在の日本では、定年退職後に年金だけで暮らすのは難しい。老後の生活にとって雇用の継続は重要だ。今後、同様の訴えが出た場合、企業ごとに判断されることになるだろうが、企業は再雇用者に対して賃金を多く払うよう努力しなければならない」と強調する。  政府の推進する「同一労働・同一賃金」。今回の判決は、非正規社員の待遇改善に向けた目玉政策との関係を指摘する声も出ている。  社会保険労務士の瀧澤学氏は「かつては、賃金を正規より49%下げても適法といった事例があった。こ のため、今回は政治色の強い判決という向きもある」と説明。事業者や業界の対策として、「60歳以前と以降の労働条件を明確に分けたり、高年齢雇用継続給付金を受給するなど、再雇用者の手取りが落ち込んで不満が生じないようにする必要がある。トラック協会が再雇用者の労働のモデルケースを示してはどうか」と提案する。 【写真=今回の判決がトラック業界に波紋を広げている(イメージ写真)】





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