被災地支援活動、「自己完結型」で成果 福岡市がリポート公表
行政
2016/05/19 0:00
福岡市は12日、熊本地震で取り組んだ被災地支援活動リポートを公表した。支援物資の的確なニーズの把握や仕分けの手間を省く仕組みづくり、ICT(情報通信技術)を活用した対応――を取り上げ、実践的で機動的な被災地支援の手法を確立する必要性を強調した。 初動段階では、熊本まで届いた支援物資が被災地に届くまで時間を要したり、刻一刻と変わる避難所ニーズとのミスマッチが発生したりするなど、様々な問題点が浮き彫りになった。 こうした中、旧大名小学校跡地(同市中央区)を活用して被災地が必要とする支援物資を仕分けし、熊本県内の大規模な集積所を経由せず、直接必要な避難所に届ける「自己完結型」の支援では、大きな成果が得られた。 また、避難所の要請する物資が各支援団体からバラバラに届き、重複する事態も続いた。この間、自治体職員は電話のやりとりに忙殺され、貴重なマンパワーを浪費。このため、ICTを活用し、本当にマンパワーが必要なところに人材を振り分けた。 特に、クラウド上に独自の物資供給システムを構築し、スマートフォン(スマホ)で簡単に物資を要請するとともに、配送日などを確認できる仕組みが効果を発揮した。一方、緊急事態に備えるためにも、普段からタブレット(多機能携帯端末)などに触れていない職員の混乱を防ぐため、誰でも簡単に操作できる全国共通のシステム構築と、職員のITリテラシー(知識・教養)を高めることが必要――と位置付けた。 最後に、「平時」から「有事」にスピーディーに変わる必要性を強調。今回の緊急支援業務で蓄積したノウハウを職員間で共有し、防災危機管理意識の向上と指揮命令系統の決定、迅速化の重要性を課題に挙げた。(武原顕) 【写真=支援物資を積み込み、被災地へ向かう(福岡市中央区の旧大名小跡地)】