岸興業、低濃度PCB廃棄物輸送 栃木初 業務を開始
物流企業
2016/04/25 0:00
【栃木】一般・産業廃棄物の運搬やリサイクル業務を手掛ける岸興業(岸達也社長、栃木市)は12日、県内初の低濃度PCB(ポリ塩化ビフェニール)廃棄物の輸送業務を開始した。この日は、鹿沼市内の荷主工場からトランスやコンデンサー、ウェスなど12トン分を、群馬県太田市の中間処理施設まで大型トラック1台、4トントラック2台で輸送した。 PCBは不燃性や絶縁性に優れるため工業製品に利用されていたが、発がん性の高さなどから1972年に製造中止となった。多くのメーカーでは、工場の受電設備内のPCBのみを除去し、他の絶縁体を注入してトランスやコンデンサーなどを継続して使用。こうしたトランス類は、残留物の付着した「低濃度PCB廃棄物」として、多メーカー工場内で処理待ち状態で保管される。 同社では2011年からPCB廃棄物の輸送準備に着手。同年、PCB廃棄物の収集運搬作業従事者講習の修了証を取得したほか、13年には栃木県と富山市で特別管理産業廃棄物の運搬許可を受けた。しかし、富山市の処理施設での受け入れ体制が整わず、中断していた。 今回、群馬県内に新たな中間処理施設が開業したことから、岸興業は同県内での運搬許可を取得。新施設との調整を進め、業務開始にこぎ着けた。 同社では「一荷主から低濃度PCB廃棄物の輸送業務が出るのは、基本的に1回だけ。輸送ではPCB汚染物が飛散・流出しないよう、細心の管理が要求される。他社に先駆けたことで業務習熟が進められる。品質を向上し、万全の体制で輸送したい」としている。(佐々木健) 【写真=PCB汚染物が飛散・流出しないよう細心の管理で作業】