田中倉庫運輸、本社倉庫に発電機導入 物流機能 停電時も維持
物流企業
2016/04/18 0:00
【広島】田中倉庫運輸(田中一範社長、広島市西区)は3月末、本社倉庫に非常用発電機を導入した。停電時でも物流機能を維持するBCP(事業継続計画)対策が目的だが、災害時に社屋の一室を地域の避難施設として開放することで、社会貢献活動にも役立てる。(矢野孝明) 超低騒音型ディーゼル発電機を機械室の空きスペースに設置し、軽油950リットル分の燃料タンクを屋外に備えた。出力は125kVAで、出力を100%に設定した場合、本社の冷蔵冷凍倉庫の保管能力5500トンのうち、3分の2の荷物を3日間程度、一定の温度に保つことができる。 また、手動によって室別に段階的な調節を行えば、より長期間の温度管理が可能。エレベーターも稼働できるため、停電時でも荷役業務を行える。基本的には非常用電源の確保が目的だが、夏場の電力使用最盛時に稼働させ、ピークカットにもつなげたい考えだ。 設計から施工まで、岩谷産業に委託した。総投資額は1860万円だが、同社の助言により全国石油商業組合連合会の石油製品貯蓄設備利用促進事業補助金を活用し、3分の2の助成を受けた。避難施設を構えることが条件で、本社3階の会議室を充て、備蓄用の食料や炊き出し設備も用意している。 田中社長は「大規模災害時でも荷主の物流を守るための投資として、費用対効果は高いと考えている」と説明。広島県冷蔵倉庫協会の会長も務める立場から、「1社だけでなく、何社もBCP体制を整えれば、地域全体のBCP機能や評価が高まる。地域間競争が激しい中、会員企業に広まることも期待したい」と話している。 【写真=機械室内の空きスペースに設置】