佐川・日立物流、資本提携 3年以内統合 宅配と3PL融合
物流企業
2016/04/04 0:00
SGホールディングス(町田公志社長、京都市南区)と日立製作所は3月30日、物流分野での資本・業務提携契約を締結した、と発表した。SGHDが日立物流の株式の29%を、日立製作所は佐川急便(荒木秀夫社長、同)の20%を、それぞれ取得。佐川急便の中核となる宅配便などの輸配送能力、日立物流が得意とする3PL(サードパーティー・ロジスティクス)といった強みを生かし、3年以内の経営統合を視野に入れ、川上から川下までをカバーする総合物流企業として、国内外での事業拡大を目指す。(田中信也) SGHDと日立物流の売上高(2015年3月期)は単純合計すると1兆5360億円。ヤマトホールディングス(1兆3967億円)を上回り、日本通運(1兆9249億円)に次ぐ、国内第2位の物流企業グループが誕生することになる。 SGHDの町田社長、佐川急便の荒木社長、日立物流の中谷康夫社長、日立製作所の斉藤裕副社長が3月30日、共同記者会見に臨み、資本・業務提携の概要を報告するとともに、それぞれの戦略や協業の方向性などを説明した。 出資の内訳は、日立製作所が53%、日立グループ全体で59%出資する日立物流の株式のうちの29%を、SGHDが875億円で取得。一方、日立物流はSGHDの持つ佐川急便の株式の20%を693億円で買い取る。それぞれ5月中旬に手続きを完了させる予定だ。 なお、業務提携に関する協議を円滑、迅速に進め、早期にシナジー(相乗効果)を創出するため、SGHDと日立物流によるプロジェクトチームを設置。資本・業務提携の成果を踏まえた経営統合の可能性についても協議、検討していく。 業務提携に当たっては、テーマに「ロジスティクス事業とデリバリー事業の融合」を掲げる。佐川急便と日立物流が展開する3PL事業での強みと豊富なノウハウ、顧客基盤をベースに、佐川急便の持つ飛脚宅配便などの輸配送能力、日立物流のシステム物流といった、それぞれが得意とする分野を最大限活用する。 国内では、貨物需要の伸び悩み、労働力不足に起因するコスト増加など厳しい局面にある半面、通信販売での到着時間指定配送など顧客のニーズが多様化・高度化している。こうした状況を受け、両社の強みを1棟に集結した「次世代型物流センター」を、まず既存施設から展開していく。次世代センターでは、自動搬送ロボットなど新技術を導入して省人化・高効率化を進め、作業品質の標準化を図るほか、佐川急便のターミナルの併設により配送機能と直結。機動的な運営を実現させる。 例えば、早朝に佐川急便のトラックが出庫した後は、TC(通過型)倉庫やミルクランの集積拠点として両社が相互利用できるほか、「お互いの幹線輸送で有効活用できる」としている。 海外に関しては、SGHD、日立物流ともアジアでの競争力強化を目指している。佐川急便がベトナム、日立物流はタイと、それぞれ得意とする地域が分かれていることから「協業のメリットは大きい」(荒木氏)としている。域内で両社の経営資源、ノウハウを活用し、「3PL+デリバリー」事業を強化・拡充するほか、国をまたいだクロスボーダー輸送などに取り組んでいく。 【写真=手を重ね協力を誓い合う(左から荒木佐川急便社長、町田SGHD社長、中谷日立物流社長、斉藤・日立製作所副社長)】
