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岩手県議会、新運賃制導入を要望 貸切バス事業参考に

行政

2016/03/31 0:00

 岩手県議会は、貨物自動車運送事業への新運賃制度の導入などを盛り込んだ意見書を提出する。24日に開かれた本会議で、全会一致で可決。田村誠議長名義で、衆参両院の議長や首相、厚生労働、国土交通の両大臣などに宛てて送る。  岩手県トラック協会(高橋嘉信会長)の顧問で、大東貨物自動車(一関市)社長の飯沢匡県議が中心となって草案を作成。中平均、樋下正信の両県議も岩ト協の顧問を務めており、物流事業者の安全運行確保に向け、制度改革を強く要望する内容となった。  意見書では、運輸業界が抱える構造的な問題を取り上げ、労働環境や産業基盤の抜本的な改善に着手し、物流事業の確立と安全な国民生活の実現のために必要な措置を講じるよう求めている。  1月に発生した長野県軽井沢町のスキーツアーバス事故を受け、規制緩和による事業者の大幅な増加が過当競争を引き起こし、ダンピング受注に及ばざるを得ない市場環境が生まれている――と指摘。安全な運行を確保するため、必要なコストを賄う対価を適正に収受する必要性を訴えた。  また、安全対策や規制を強化しても、実効性の向上にはつながらない点を強調。2012年に起きた関越自動車道のツアーバス事故後に、貸切バス事業では新運賃・料金制度が導入されたが、これを参考にトラックにも同様の制度の適用が急務であることをアピールしている。  要望内容は①貨物運送事業への新運賃制度の導入②中小事業者が運賃交渉をしやすくする仕組みの制度化③荷主勧告制度の厳密な運用④トラック運転者が休憩するための施設の増設と、主要道路におけるトラック専用ゾーン創設の推進――の各項目。  飯沢氏は、議会終了後の取材に応じ、「先のバス事故では、ドライバーが契約社員として、複数の会社にまたがって仕事をしていたことが大きな問題。安全確保には経費がかかる。関心が高まっているうちに、制度改革に着手する必要がある。この意見書が契機となり、他の自治体の議会でも物流環境の整備意識が喚起され、安全確保への機運が高まることを期待する」と話した。(今松大) 【写真=新運賃制度の導入などを盛り込んだ意見書の提出を全会一致で可決】





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