三井不、物流施設5棟開発 九州へ進出 海外も視野
産業
2016/03/28 0:00
三井不動産は物流施設開発事業を拡大する。今秋以降、国内で計5棟を順次竣工させるとともに、サードパーティー・ロジスティクス(3PL)事業者との関係を強め、戦略的な開発を推進。当面、首都圏・関西圏を中心に年間3、4棟ペースで供給を続ける。海外では、日系3PL事業者のニーズが高い東南アジアを中心に開発を検討していく。24日の記者説明会で発表した。(吉田英行) 国内ではまず、10月に三井不動産ロジスティクスパーク(MFLP)福岡Ⅰ(福岡県須恵町)を竣工させる。同社としては九州初の物流施設で、3階建て、延べ床面積3万2400平方メートル。戸田建設との共同事業となる。 2017年5月には、MFLP稲沢(愛知県稲沢市)を完成させる。中京エリアでは2件目の物件となり、4階建てで延べ床面積は7万4300平方メートル。名古屋市中心部への配送に最適な立地だ。 同社最大規模の旗艦施設、MFLP茨木(大阪府茨木市)は6階建て、延べ床面積24万1900平方メートルで、17年9月の完成を見込む。低床・高床両バースを備え、労働環境に配慮して空調設備付き倉庫スペースや、屋上を利用した休憩スペースを設ける。 17年10月竣工予定のMFLP厚木Ⅱ(神奈川県厚木、伊勢原両市)は4階建て、延べ床面積5万4千平方メートル。東名高速道路と首都圏中央連絡自動車道(圏央道)の結節点、厚木インターチェンジに近く、首都圏広域をカバーできる。 更に、埼玉県川越市でも、延べ床面積13万平方メートルの大型マルチテナント(複数企業入居)型施設を開発する計画だ。 この5棟を含め、同社の稼働・開発中の国内物流施設は計22棟、総延べ床面積200万平方メートル。12年4月に事業を開始して以降、累計投資額は3千億円に上る。 当面、年間3、4棟を目標に供給を続ける予定。首都圏では埼玉、千葉、神奈川の各県の圏央道・国道16号から内側の地域、関西圏では大阪府北東部の内陸エリアを含めた地域を戦略エリアに位置付ける。 既存施設のテナントは大手3PL事業者、EC(電子商取引)事業者、アパレル企業が多い。戦略的開発と、施設供給にとどまらない付加価値実現に向け、特に3PL事業者との関係強化を図っていく。 海外では、三井不動産の支店・駐在員事務所のある台湾、タイ、マレーシア、シンガポールで開発を検討。日系3PL事業者のニーズの高いエリアに重点投資する。 また、今月には物流施設特化型REIT(不動産投資信託)の「三井不動産ロジスティクスパーク投資法人(MFL)」を設立しており、現在、投資信託法上の登録手続きを進めている。資産取得方法や上場の可能性、取得対象物件などは未定。 国内物流施設市場の見通しについて、三井不動産の三木孝行・執行役員ロジスティクス本部長は「全体の空室率は間違いなく上がる。需給バランスの取れるエリアと取れないエリアの両極端になるだろう。これは用地戦略上重要なため、注視している。賃料は物件によって強弱が出てくるはず」と話した。 【写真=自社最大規模で空調設備付き倉庫スペースを設けるMFLP茨木(完成予想図)】