山形物政懇、労使一体で課題克服 適正運賃収受に全力
団体
2016/03/24 0:00
【山形】山形県物流政策懇談会が11日に開かれ、適正化事業の実施状況や運輸事業振興助成金の活用状況、16年度事業計画などについて、行政、事業者、労働組合の代表らが意見を交わした。 山形運輸支局の松沢和幸支局長が「トラック業界の大半は中小零細企業が占め、取り引きにおいては弱い立場にある。運転者不足も深刻で、要因の一つに長時間労働が挙げられる。取引環境の改善と長時間労働の抑制に向け、協議会を立ち上げ、環境整備に取り組んでいる。懇談会の意見は、業界の適正化や活性化のために役立てたい。きたんない意見を賜りたい」とあいさつ。 事業者を代表して山形県トラック協会の矢野佳伸会長は「軽油価格が下がり、赤字体質から脱却し、ようやく処遇改善に力を入れ始めたところだ。厳しい経営環境の中で、人件費の抑制が長く続いたため、一時間当たりの賃金は他産業より3割も低い。処遇改善は不可欠で、その原資となる適正運賃収受に全力で取り組む。また、高品質で安全・安心な輸送など課題が山積しており、労使で力を合わせて取り組まなければならない」と労使一体での克服を強調。 運輸労連全日通労働組合山形支部の大場暁委員長は「ここ2年間は賃上げされたが、物価上昇や増税で実質賃金は上がっていない。経済好循環を実現させるには、実質賃金の引き上げや労働条件の向上が不可欠。また、軽井沢のスキーツアーバス事故では、事業者のずさんな経営とともに、規制緩和政策の負の側面も見られる。チェック機能が働かなかった。労働組合にはチェック機能を果たす役割もある。健全発展に向け、(未設立企業への)労組設立にも理解をお願いする」と述べた。 今回の座長は労組側の交通労連第一貨物労働組合の水戸吉一委員長が務め、当面する課題などを、それぞれの立場から議論した。(黒田秀男) 【写真=16年度事業計画などについて、行政、事業者、労働組合の代表らが意見を交換】