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山陽道事故、運送事業者を処分へ 過労運転や健診未受診

物流企業

2016/03/24 0:00

 広島県東広島市の山陽自動車道下り線・八本松トンネル内で2人が死亡、71人が重軽傷を負った多重事故で、国土交通省は18、22の両日、渋滞の最後尾に追突したトラックを運転していた皆見成導容疑者(33)が勤務するゴーイチマルエキスライン(後藤義雄社長、埼玉県川口市)の本社営業所に対し、特別監査を実施した。監査の結果、容疑者やその他のドライバーに関し、過労運転や雇用時の健康診断の未受診、不適切な指導監督などの法令違反が複数回あったことが分かった。(田中信也)  事故は、トンネル内の渋滞の列にトラックが減速しないまま次々と追突し、数台の車が炎上したもの。皆見容疑者は18日、自動車運転処罰法違反(過失致死傷)の容疑で広島県警に逮捕された。同容疑者は16日の夕方に引っ越し荷物を積んだトラックで福岡県に向かって出発、その途中で事故を起こした。  事業用トラックが第一当事者とみられる重大事故の発生を受け、国交省は18日、全日本トラック協会(星野良三会長)に対し、トラックの安全運行に万全を期し、安全対策と事故防止の徹底を図るよう文書で注意喚起した。  全ト協は、国交省に先駆け18日、都道府県トラック協会と、傘下事業者に事故防止に関する周知を行うとともに、安全運行の一層の徹底を求めるよう書面で通知した。ゴーイチマルエキスラインが加入している埼玉県トラック協会(鳥居伸雄会長)も同日、安全運行の徹底を求める文書を会員事業者に送付。また、24日開催予定だった15年度の陸運関係表彰者合同祝賀会の自粛を決めた。  関東運輸局と埼玉運輸支局の職員が18日、ゴーイチマルエキスラインの後藤社長と運行管理者に聴取するとともに、皆見容疑者の運行状況を調べた結果、①過労運転に関する不適切な措置(連続運転時間、休息期間、拘束時間違反)②雇用時の健診未受診③国交大臣告示で定める輸送の安全確保に関する教育(一般的な指導・監督)の不足④運行指示書の未確認⑤初任適性診断結果の未確認――が発覚した。  特に過労運転は、複数回の違反があることが判明。いずれも事故発生の時と同様、埼玉県から九州方面への長距離運行であることが分かっている。居眠り運転が事故の原因とみられ、長時間運転が常態化していた模様だ。  18日に確認した内容を精査した上で、22日に追加監査を実施。皆見容疑者の乗務での休憩の地点と時間の記載不備や、本社営業所の全運転者(42人)の乗務後の飲酒チェック未実施などの違反が新たに確認された。国交省は、事業者側に過労運転や健康状態の把握に問題があったとして、行政処分を命じる方針だ。  ゴーイチマルエキスラインは1993年9月に営業開始し、現在3営業所で車両66台を保有。本社営業所については今回が初めてだが、栃木営業所(栃木県さくら市)が13年12月に監査を受けている。これに基づく行政処分(70日車の車両停止措置)が今月23日に命じられたが、国交省が18日に行った監査結果の記者説明で、「監査から処分までなぜ2年も要するのか。この間の(長野県軽井沢町のスキーツアー)バス事故と同じ問題ではないか」といった運輸行政への批判の声も多く上がった。  事故の当事者は運転者だが、不適切な指導監督や、改善基準告示に違反する長時間勤務の放置など事業者側の管理体制に大きな問題があったことは否めない。22日の追加監査には、10人を超える報道関係者が集まった。運輸行政の監査・処分体制に対する世間の目も一層厳しくなりそうだ。  国交省はツアーバスの事故多発を受け、貸し切りバス事業者への監査方針・行政処分基準を近く強化する。今回の事故によって、「トラックにも水平展開すべき」との声が出てくる可能性は否定できない。 【写真=事故を起こしたドライバが所属するゴーイチマルエキスライン(22日)】





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