ふそう、生産体制の強化へ再整備 大・中型ライン一本化
産業
2016/03/21 0:00
三菱ふそうトラック・バス(マーク・リストセーヤ社長兼CEO=最高経営責任者、川崎市幸区)では、川崎製作所(中原区)の再整備を進め、生産体制の強化を図っている。大・中型の車両ラインを一本化させ、構内物流の作業効率を20%改善。構内のフォークリフトも40%近く減らすことができた計画には100億円強を投じ、期間は10年に及ぶ。大規模なリニューアルで作業品質や作業員の安全性の向上につなげる。(土屋太朗) 15日、プレス向けに川崎製作所を公開した。同製作所は43万平方メートルの敷地を持ち、1941年から生産を開始。独ダイムラーグループのアジアでの主要生産拠点と位置付けられており、2015年は15万4千台のトラックを生産した。 再整備計画は07年からの10年計画として打ち出された。構内物流の効率化を図り、生産性を高めるのが目的で、主要な工事は15年末でほぼ完了している。 再整備のメーンとなるのは車両組み立てラインの一本化だ。2年の工事を経て、15年8月から稼働。2本に集約したラインを構内の中央に配置し、エンジンやキャブといった部品の組み立てを外側に置く体制にすることで、部品供給が効率的になり、組み立てやすくなった。1台の車両に使う部品をあらかじめ一つにまとめたり、無人搬送車(AGV)を活用したりするなど簡素化・省力化も進めた。 また、エンジンを中心にトランスミッションや冷却系の部品を合わせた「パワーパック」のラインも再編。4カ所に分散していたものを一つにまとめ、16年1月から稼働した。更に、LED(発光ダイオード)や太陽光パネルの導入など環境負荷を低減させる取り組みも積極的に進めた。 こうした刷新で、理想的な構内物流の動線を実現。07年には400台以上稼働していたフォークリフトを37%削減したほか、作業員一人当たりの生産性も高まった。 元山義郎・取締役副社長兼生産本部長は「生産体制の強化で、ユーザーへのトラックの迅速な提供につながる。品質をデータベース化するシステムも導入したので、アフターサービスに関してもこれまでより品質が向上した」と強調した。 【写真=2年の工事を経て、15年8月から稼働】