国交省、生産性革命本部が発足 渋滞箇所を洗い出し
行政
2016/03/10 0:00
国土交通省は7日、高速道路の効率的な渋滞解消策などを通じてドライバー不足に対応する生産性革命本部(石井啓一本部長、国交相)を立ち上げた。データを活用して渋滞箇所をピンポイントで洗い出すとともに、渋滞で損失した労働時間を取り戻し、生産性向上につなげる。2016年度は全国50カ所で対策を検討・実施。省を挙げて複数の取り組みを進め、労働者の減少を上回る経済成長を実現させる。(土屋太朗) 同日の初会合では、石井国交相を筆頭に、局長級以上の幹部が顔をそろえた。石井氏は、「日本は人口減少時代を迎えている。そうした中、生産性向上こそが成長のキーワード。今年を『生産性革命元年』と位置付けた」と表明。トラックの積載率が5割を下回っていることや、道路移動時間の4割が渋滞に費やされている状況を説明した。 その上で、「生産性向上につながるプロジェクトを国土交通行政分野から選び出し、磨き上げ、集中的に取り組みたい。今後は、経済界とも積極的に対話を行う」と強調。月に1回のペースで本部の会合を開き、順次プロジェクトに取り組んでいく考えを示した。 プロジェクトの第1弾として、データを活用してピンポイントで渋滞箇所を見つけ、対策を講じていく。渋滞で失われた時間は年間280万人の労働力に当たり、このうち大型車では45万人に相当。16年度は高速道路や周辺道路50カ所を対象に行う。会合では、東名高速道路の大和トンネル(神奈川県大和市)付近や中央自動車道の小仏トンネル(東京都八王子市―相模原市緑区)を候補に挙げた。 また、事故防止対策も推進する。ドライバーの運転特性を保険料に反映させる仕組みを周知。車載器からのデータを基に、安全運転の場合には保険料を下げるなどのサービスを提供する。ドライバーに安全運転を促し、事故防止へつなげる狙い。車両を多く持つトラック事業者は、保険料の大幅な削減が期待できる。16年度は保険の周知、効果の検証を行い、20年をメドに新たなサービスを実現させる。 更に、ビッグデータを活用して生活道路の急ブレーキ多発地点などを事前に特定。ハンプ(こぶ)の設置など速度低減策に取り組む。4月から全国100エリアを皮切りに施策を進める。 【写真=「生産性向上こそが成長のキーワード」と石井国交相】