中部急送、IT点呼5拠点で開始 法令順守へ対策強化
物流企業
2016/03/03 0:00
【岐阜】中部急送(広瀬和秀社長、岐阜県瑞穂市)は3月中にも、全国の5拠点で一斉にIT(情報技術)点呼をスタートさせる。コンプライアンス(法令順守)対応強化策の一環で、自社拠点を中継地点とした長距離便のリレー輸送についても検討を始めた。(星野誠) 東北、関東、中部に7拠点を整備しており、トラック160台で、物流関連資材などの全国輸送を手掛ける。3月からIT点呼を実施するのは、福島営業所(福島県二本松市)、茨城営業所(茨城県常陸大宮市)埼玉営業所(埼玉県川島町)、静岡営業所(静岡県掛川市)、本社営業所の5拠点。実施条件となる安全性優良事業所認定(Gマーク)をそれぞれ取得している。 広瀬社長は「輸送エリアが広範囲にわたり、点呼の確実な実施と運行の効率化が課題だったので、5拠点一斉に行うことにした。各拠点に国交省指定の機器を用意し、専用の通信環境も整えた。3月中にも運用を開始したい」と説明。 残る2拠点の郡山営業所(福島県郡山市)と三重営業所(三重県伊賀市)でも、今後、IT点呼を順次スタートさせる方針だ。必要となるGマーク取得や通信環境整備などを進めていく。 IT点呼実施と並行して、各拠点で夜間点呼者の人員を増やす。本社では、5人の夜間点呼者を置き、うち3人は元ドライバーのベテラン社員を継続雇用している。 「我が社と仕事を熟知した先輩なので、ドライバーに的確なアドバイスをできる。点呼だけでなく、横乗りなどの指導にもベテランを活用したい。トラックに乗れなくなっても仕事があれば、社員は安心して働くことができ、結果的に若い労働力の確保にもつながる」(広瀬氏) 更に、福島営業所で中継するリレー輸送も検討を開始。岐阜県から青森県などの遠隔地に運ぶ荷物を、福島で別のトラックに積み替える計画だ。広瀬氏は「主力荷主の全国25工場のうち15工場を我が社が担当しているため、長距離輸送が多く、労働時間管理が大きなテーマだった。加えて、関東周辺の帰り荷を開拓できれば一石二鳥のメリットがある」と強調。 その上で、「IT点呼やリレー輸送でコンプライアンス対応を進めれば、労働環境が大きく改善し、若い人を呼び込みやすくなる。来年度以降、初の大卒社員採用も予定しており、業務効率化と魅力ある職場作りに全力で取り組んでいく」と力を込める。 【写真=各拠点に国交省指定の機器を用意し、専用の通信環境も整備】