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取引労働改善中央協、適正運賃へ議論本格化 ツアーバス事故背景に

行政

2016/02/25 0:00

 国土交通省は、適正運賃収受に向けた議論を本格化させる方針だ。19日に開かれたトラック輸送における取引環境・労働時間改善中央協議会(野尻俊明座長、流通経済大学学長)の第3回会合で、国交省は過去の運賃規制緩和の経緯を説明。委員からは、専門委員会の設置を求める意見も出た。背景には、長野県軽井沢町のスキーツアーバス事故で明るみになった、貸切バス事業者の不適切な運賃収受の実態がある。  トラック事業の運賃・料金に関する規制は、これまで2度の見直しがあった。1990年12月の貨物自動車運送事業法の施行により、それまでの認可制から事前届出制に移行。2003年4月には、現在の形である30日以内の事後届出制がスタートした。最低・最高運賃制や認可制を採用しているバス、タクシーに対し、トラックには運賃規制が無いに等しい。  03年の法改正は、トラック事業者の柔軟な事業運営を後押しする考えに基づいている。あらかじめ運賃を規制することは、多様な荷主と契約するトラック事業者の創意工夫の障害となると判断された。  ただ、適正運賃の収受は規制緩和以降、事業者が増大する中で最も大きな課題として浮上。「トラック産業の将来ビジョンに関する検討会」での議論を受け、10年10月からワーキンググループが設置された。検討の結果、特定地域で運賃・料金が著しく高騰したり、下落したりするなどの要件を満たさなかったため、標準運賃(同法63条)の設定は認められなかった。その代わりに提案されたのが、契約書面化の推進や原価計算の普及だ。  ドライバー不足が深刻化し、安全のコストとドライバーの待遇改善に必要な原資を確保するため、トラック業界では運賃規制を求める声は根強い。第3回会合で提示された資料によると、特に、荷主との運賃交渉の目安となる「モデル運賃」「最低運賃」の設定、荷役作業や荷待ち時間を運賃に加算する仕組みの必要性などを指摘する事業者は多いという。  こうした状況を踏まえ、会合では適正運賃収受の在り方について議論が集中。軽井沢町のバス事故で、国の決めた下限を下回る運賃で契約していた問題の影響は大きい。(土屋太朗) 【写真=委員からは、専門委員会の設置を求める意見も】





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