経産省/アパレルSC研、製造・卸・小売り連携 設備投資や雇用を拡大
行政
2016/01/25 0:00
経済産業省は19日の有識者会合で、アパレル産業のサプライチェーン(SC、供給網)の再構築に向け、製造・卸売り・小売りなどの各段階で連携を図っていく必要性を示した。現状の分断されている構造は「SCにデメリットをもたらしている面がある」とし、電子化が進んでいないといった取引環境も問題視。新たな体制をつくり、製造業の設備投資や雇用拡大につなげることで、市場の活性化を図る。 同日、アパレル・サプライチェーン研究会を開催。アパレル産業の国内生産体制の強化を図るため、SC再構築や物流効率化といったテーマで検討し、「アパレル産業ビジョン」(仮称)の取りまとめを目指す。委員には佐川急便(京都市南区)の荒木秀夫社長も参加している。 同省は、アパレル産業では製造・卸・小売りが分断され、更に、製造でも原糸や生地の製造、染色加工など各段階で分業化されている――と説明。情報共有できなかったり、非効率につながっているといった問題点を挙げた。加えて、電話での受発注や契約書を交わさないやり取りが多いなど特有の商・取引慣行がSC全体に悪影響を及ぼしている点も指摘した。 委員からは、SC再構築に向け各段階で連携する方向性に賛同する声が上がった。下村彬一委員(日本繊維産業連盟会長)は「企業の統合ではなく、分断されているものをつなぐシステムを考える必要がある」と述べ、あらゆるモノをインターネットでつなぐ「IoT」を進めていく考えを示した。 また、山田保裕委員(日本繊維輸出組合・日本繊維輸入組合理事長)が「まず国内SCの事業モデルを構築し、海外に横展開させることを最終目標にするべき」と強調。藤本隆宏委員(東京大学大学院教授)は「商慣行に踏み込む必要がある」と話した。 一方、藤野直明委員(野村総合研究所主席研究員)からは「日本の個々の技術は素晴らしい。国内SCの整備から始めるのでは間に合わないのではないか」といった意見も出た。(土屋太朗) 【写真=国内生産体制の強化に向け、物流効率化などをテーマに検討することを確認】