SBSフレック社長 渡辺誠さん、基盤固め収益構造改善 製造分野 新たな領域
物流企業
2016/01/14 0:00
SBSグループのSBSフレック(渡辺誠社長、東京都墨田区)は、低温物流の世界で有力な地位を確立している。渡辺社長(67)は「まずは基盤固めに力を入れる。その次の段階でチルド共同配送や製造現場への展開などを構想してしる」と今後のビジョンを明かす。(沢田顕嗣) ――2015年12月期を総括すると。 売り上げは450億円程度と前の期比で横ばいだったが、利益は料金改定効果などにより拡大した。我が社は食品に特化しているが、他の貨物に比べて仕事が厳しい。365日・24時間の対応が前提で、かつ品質、安全、低コストを求められる。食品は特に条件がハードなため、ドライバーがよそに移るケースもある。労働条件の整備が喫緊の課題と認識している。 ――ドライバー不足を解消するポイントは何か。 まずは適正料金の収受に向けて値上げ交渉を行うのが大事。納品回数や納品時間など仕事の内容を緩和することも欠かせない。積載率が5割から7割に高まれば、20台の車両が17、18台で済むだろう。ただ、流通(コンビニエンスストア、スーパーマーケット)の壁は厚い。交渉は決して一筋縄ではいかないが、16年度も引き続き納品条件の見直しに動いていく。 ――働き手の意識も大きく変化している。 近年は安定を求める傾向が強まっている。一つの解として正社員化を推進していきたい。個人の生活を大事にする風潮も強くなっている。親会社のSBSホールディングスは東京証券取引所1部に上場している。上場会社としての信用力も人材確保に生かしていく。16年12月期は大型の投資計画が無く、基盤固めに専念する。 ――事業規模に関するスタンスは。 売り上げの拡大を志向する前に、足元をしっかりと固めるのが先決。収益構造の改善を図った上、売上高500億円、600億円を見据えていく。キーはチルド共配と考えている。荷主の拠点を共配の基地として活用すれば、コストダウンや車両・人材の有効活用、環境効果が更に見込める。フローズン事業は現状維持でいいと思っている。 ――新たなサービスも構想している。 生産方法を再考する機運が高まっており、製造分野への展開も新しいサービス領域と受け止めている。また、茨城県阿見町の車両基地で何か手掛けるイメージも持っている。このほか、現時点ではあくまでも夢だが、いずれは海外にも進出したい。 ――品質の更なる高度化にも取り組む。 保有する全500台にデジタルタコグラフやドライブレコーダーなどの装着を進めている。コンプライアンス(法令順守)の徹底が安全・安心や品質に直結することから、コンプライアンスをテーマにした研修も一段と充実させる。私も積極的に現場に出向いて従業員とのコミュニケーションを深めたいと考えている。 ――物流業界に限らず、パラダイムシフトが起きている。 世の中がどう変化していくかは予測できない。変化対応という言葉は昔からあるが、自ら変化する必要性を強く感じている。仕事に対する意識や働き方などについて、果たしてこれで本当に良いのか、と各人が自身に問い掛けて欲しい。その上で、グループ力を発揮することが、成長するための条件だと思っている。