丸吉運輸機工、鋼材トータルサポート 重複業務を集約
物流企業
2016/01/04 0:00
【北海道】丸吉運輸機工(吉谷隆昭社長、北海道北広島市)は、2016年から関東の鉄鋼物流施設で鋼材の輸送や管理、作業のトータルサポートサービスを本格化させる。従来、荷主や運送会社、作業会社がそれぞれ独立して行っていた業務の重複部分を集約。多層構造を解消して相互補完を図り、効率的な物流現を構築していく。既に苫小牧営業所(苫小牧市)で確立している事業モデルで、パートナーとして荷主が営業に集中できる環境を提供する。 鉄鋼物流施設の主な業務は管理、入出荷作業、加工、保管、物流コンサルティングなど。その中で荷主、運送会社、作業会社が独立して業務を行い、仕事が重複しているケースが少なくなかった。 吉谷社長は「これまでは荷主の営業マンがトラックの手配を行うなど、運送会社と業務が重なる部分があった。今後は業務集約を図りながら、既存の運送会社ネットワークを生かして物流をトータルにサポートしていく。荷主へ営業に集中できる物流環境を提供することで、販売力の強化に貢献できれば」と話す。 創業以来、鉄鋼の重量物や長尺物輸送を柱に工事などを手掛けてきたが、近年は事業構成比が大きく変化。トラック運送事業は6割と変わらないが、工事事業から撤退し、残りの4割は5年前の5倍に成長した3PL(サードパーティー・ロジスティクス)やモーダルシフト事業となった。 輸送以外の事業が成長したことに伴い、拡大した管理、保管、加工作業員からの自前ドライバー育成にも注力。14年、倉庫作業員として入社した30代の社員が、初めてドライバーデビューを果たした。 吉谷氏は「3年間作業員として働いてきたため、鋼材の知識は十分。作業をしていくうちにトラックに興味を持ってくれたようで、彼のようなドライバーが作業員との垣根を無くしてくれることを期待している。そういう『鉄の物流マン』を育成することがこの先、重要になってくるはず」と力を込める。 また、フェリーを使ったシャシー輸送のほか、15年4月には鉄道輸送用にオリジナルの20フィート無がいコンテナ15個を導入。更に、一昨年からはグループのメタル便北海道(吉谷社長、苫小牧市)で、箱型の20フィートコンテナ2個も入れており、鉄道を活用したモーダルシフトを推進。トラック運送以外の輸送手段や事業も拡充し、新たな柱としている。 鉄の混載便を手掛けるメタル便北海道は、設立から3年目を迎えた。吉谷氏は「混載輸送だけで見れば、当初の想定ほど取扱量は伸びなかったが、メタル便を始めたことで、思い掛けない出会いを得ることが出来た。鋼材以外の依頼などを頂くなど、今後が楽しみだ」と話す。(北原進之輔) 【写真=オリジナルの無がいコンテナ導入で鉄道輸送推進】