京浜港、横浜・川崎が経営統合 港湾運営会社 国に申請へ
行政
2015/12/24 0:00
京浜港(東京、横浜、川崎港)のうち、横浜、川崎両港は2016年1月12日に埠ふ頭とう会社を統合し、15年度中の港湾運営会社指定を目指すが、東京港は参加を見送ることを決めた。横浜港では、大水深・高規格ターミナル「MC―3」(横浜市中区)が完成し、国の支援による集荷が急務だが、東京港は既に容量オーバー状態。各港で状況が異なるため、横浜、川崎両港で先行して港湾運営会社を立ち上げて集貨を図り、東京港は施設整備を優先する。3港が導入している入港料一元化など、国際競争力強化の取り組みは今後も続ける。(吉田英行) 横浜、川崎の両港は来月それぞれの埠頭会社を経営統合し、新会社「横浜川崎国際港湾」を立ち上げる。設立後、港湾法で国際戦略港湾に一つ置くことが定められている「港湾運営会社」の指定を国に申請。3月上旬の指定を見込んでいる。 港湾運営会社に指定されると、国による集貨補助が受けられ、国の出資も可能となる。更に、埠頭会社は現在、港湾運営会社ができるまでの特例措置として、ヤードやガントリークレーン整備費用の8割について、国・自治体から無利子貸し付けを受けているが、これも引き続き利用できる。 横浜港では4月、国内初の水深18メートルの耐震強化岸壁を持ち、世界最大級のコンテナ貨物船が寄港できる南本牧ふ頭MC―3ターミナルの供用を開始。広域からの集貨が喫緊の課題となっている。 一方、東京港は既に施設容量がオーバーの状態で、集貨よりも施設整備を中心とする機能強化が課題だ。17年中のオープンを予定している中央防波堤外側ふ頭「Y1」「Y2」や、臨港道路南北線などの整備を優先したい考え。 3港では、一つの港湾運営会社設立に向け協議してきたが、各港で状況が異なることから、横浜、川崎両港が先行して一体運営体制に移行。東京港の埠頭会社は単独で存続することとなった。 統合会社が港湾運営会社に指定されれば、東京港の特例措置は失効する。無利子貸し付けは費用の6割までとなるが、都によると「埠頭会社の経営努力で十分吸収できる。これで赤字になることは無く、ユーザーへの転嫁も無い」(港湾局港湾経営部)。 また、3港で実施している入港料の一元化や、集貨・機能拡充に向けた総合的な連携などは今後も継続する。都は「埠頭会社統合という一つの手段は見送ったが、東京港が国際戦略港湾の枠組みの中で、競争力強化を図ることに変わりは無い」(同)としている。京浜港と共に10年8月に国際コンテナ戦略港湾に指定された阪神港では、大阪、神戸両港の埠頭会社が14年10月に経営統合し、11月に港湾運営会社の指定を受けている。 【写真=東京港は既に容量オーバーで、集貨よりも施設整備を中心に機能を強化】