<トラガールの1日>商運サービス 服部円香さん、悔し涙流す負けず
物流企業
2015/12/07 0:00
トラック運送業界の労働力不足の解消に向け、女性ドライバーの活躍が叫ばれている中、活躍を目にする機会も増えてきた。商運サービス(佐久間恒好社長、東京都練馬区)の配送ドライバー、服部円まど香かさん(20)の1日を追った。(田中信也) 07:09 新座営業所(埼玉県新座市)に出社。愛車の点検後、月に1度の安全対策会議に続いて、点呼に臨む。入社当初は遅刻もあったが、「最近は誰よりも早く来ている」と、運行管理者の片桐豊運輸部第三課課長(31)。 入社のきっかけは、友人である同社の先輩ドライバーの紹介だった。「車の運転が好き」(服部さん)なことから、3月に19歳で入社。「なじむのか心配したが、逆に彼女にしかできないこともあると思い、採用した」(片桐氏)佐久間社長(46)も「仕事がうまくいかず悔し涙を流すほど負けず嫌いな面は、他のドライバーも見習って欲しい」と評価する。 08:30 会議に引き続き朝礼。同社に配達業務を委託する生活協同組合コープみらいの朝霞センター(朝霞市)に向かう。 08:40 朝霞センターに到着。この日配達する全ての商品を1時間半かけて積み込む。商品は「冷蔵」「冷凍」「ドライ」「生活用品」といった種類別に、折り畳みコンテナ、発泡スチロールなどに仕分け、間違いや欠品が無いか作業表をにらみつつ、テキパキと進めていく。ここで間違いがあれば配達ミスを避けられないため、表情は真剣そのもの。 朝霞センターの佐藤忍センター長は、女性の目線から「仕事に一生懸命で、素直。けなげで可愛い」と、服部さんの仕事ぶりを評価。「配送のみならず商品営業にもしっかり取り組んでおり、売り上げ成績も上がっている」と話す。 10:30 積み込みが完了し、配送に出発。朝霞市内のみのルートで、この日は45軒の顧客を回る。「今日(金曜日)は少ない方」と服部さん。 10:40 最初の配送先に到着。呼び鈴を押し、「おはようございます。コープです」と呼び掛ける近隣の数軒を回り、不在のところは玄関前に置いていく。 10:50 Kグループ組合員の班長宅へ。グループ組合員は生協の伝統的なシステム。服部さんの担当する顧客は300人だが、個人組合員とグループ組合員の比率はほぼ半々。Kグループは20年以上の「ベテラン」。配達員に向ける目は厳しいが、「名前を覚えてくれていて、時には褒めてくれる」(服部さん)。 11:00~12:15 午前中は20軒を訪問。Yさんからは柿のお裾分け。「お菓子を頂いたこともある」。この日のクライマックスは3階まで階段で上るマンションの組合員宅。「もっと条件のきつい団地もある。お米があると十数キロにもなり、本当にきつい」 12:15~12:30 休憩昼食を取るが、この日は「食欲が無かった」ので、チョコレートで済ます。 12:30~14:30 午後は25軒を回る。いつも停車できるところが通行止め。仕方なく少し離れたところの月ぎめ駐車場をしばし借り、事なきを得る。 14:30 センターに戻る。顧客からの注文書の提出や帳票類の処理、コールセンターへの要望やクレームの確認などやることは盛りだくさんだ。一番気持ちがへこむのは、顧客からのクレームで「1 17:30 営業所に帰社。点呼を受け、この日の業務は終了。女性職員が多いセンターに対し、営業所は男社会。「外にある男女共用のトイレはどうにかして欲しい」と注文を付ける。片桐氏も「彼女が入って、社内の雰囲気は良くなった。今後も積極的に女性を受け入れたいと思っており、トイレや更衣室の改修も検討したい」と話す。