経産省産構審/官民共同検討部会、物流にIoTやAI活用
行政
2015/09/21 0:00
あらゆるモノをインターネットに結ぶ「IoT」やビッグデータを物流に活用し、企業の生産性向上へ――。IoTなどの新技術がどのように経済や社会に影響するか、官民共同での検討部会が17日、発足した。主要分野の2030年代の将来像を探り、対応策を詰める。主要分野には物流関係も盛り込まれ、自動走行の実現や、電子商取引(EC)の拡大を想定し、検討を進めていく。経済産業省のほか、文部科学省、厚生労働省などの担当者も加わり、横断的な取り組みになりそうだ。(土屋太朗) 同日、経産省産業構造審議会新産業構造部会(伊藤元重部会長、東京大学大学院教授)の初会合を開催。宮沢洋一経産相は「日本の明日を開く大事な会議になる。世界に先駆けるように様々なアイデアを出してもらいたい」と強調した。部会では、来春までに中間取りまとめを策定。検討結果を16年度の成長戦略に盛り込む方針だ。 IoT、ビッグデータ、人工知能(AI)といった技術への投資を促し、企業の生産性向上、賃上げにつなげる。その上で、考えられる影響や、官民でどのような対応ができるか――などを検討。官民共同で方向性をまとめる。 初会合では、30年代をメドとした主要産業の将来像を紹介。自動走行の実現で交通事故の減少や渋滞の解消につながることが示された。また、ECの高度化・拡大が進み、多様な消費ニーズを呼び起こすほか、高齢世帯へのサービス拡充になる――との見通しが提示された。 志賀俊之委員(日産自動車副会長)は「大企業ばかり生産性が向上するのではなく、中小企業にも影響が出るように、業界をまたいで進めていくべきだ。各企業の良いとこ取りをする必要がある」との考えを述べた また、土居丈朗委員(慶応義塾大学教授)は、消費税10%時の負担緩和策に挙げられた、増税分の一部を払い戻す還付制度案を引き合いに持論を展開。「制度案に対する反対意見には消費者や小売店の手間になることが挙げられており、これは税の話の前に、物流分野でICT(情報通信技術)化が進んでいないことを浮き彫りにした。この検討会を通じ、良い形で技術向上につなげられれば」と期待感を示した。 【写真=検討結果を来年度の成長戦略に盛り込む】