苫小牧沖フェリー火災、冷凍車3台廃車 札幌定温 「お手上げ状態」
物流企業
2015/09/14 0:00
「3台の冷凍車は廃車となり、積んでいた荷物の弁償金8千万円はとりあえず立て替えへ」――。北海道苫小牧沖で発生した大型フェリー「さんふらわあだいせつ」(商船三井フェリー所有)の火災事故で被害のあった札幌定温運輸(伊藤邦博社長、札幌市西区)では、事故の対応に繁忙期が重なり、お手上げ状態となっている。(那須野ゆみ) 室蘭港にえい航されてようやく鎮火したフェリーから、トラックやシャシーが降ろされたのは8月17日。フェリー会社から連絡を受けた同社は、すぐに担当者を派遣し、確認した。 担当者からの報告によると、「荷台の扉を開けたら腐敗臭がすごかった」らしいが、「写真だけを見ると、箱詰めされた冷凍品は何事も無かったかのようだった」(伊藤社長、62)。 冷凍車を修理して使用できるかどうかディーラーに見てもらったが、「消火に当たって塩水をかぶっており、修理してどの程度走行できるか保証できない」と言われた。やむなく3台のトラックは「廃車」とし、新車3台を発注したものの、「納車は来年2月か3月になる」という。 火災後、ドライバーには自宅待機してもらっている。3台のほかにも、長い付き合いだった傭車先のトラックも焼け、「荷物を運ぶのに苦労している」。 伊藤社長は「繁忙期を控え、お手上げ状態。今のところは荷主の理解もあって何とかやり繰りしているが、それも限界にきている。窮余の策として、廃車にしようとしていたトラックを使って乗り切るしかない」考えだ。腐敗した冷凍品およそ77トンは、フェリー会社が廃棄処分してくれた。しかし、荷主に支払う「預かり貨物の弁償金」約8千万円は、本来の請求先がまだ明らかになっていない。このため、9月末にとりあえず立て替え払いするが、いつ、どこから、いくら返済されるのか、見通しは立っていない。 【写真=火災事故に巻き込まれて、車体が焦げた冷凍車】