物流ニッポン – 全国の物流情報が集まるポータルサイト

青少年雇用促進法10月施行 ブラック企業を排除

産業

2015/08/20 0:00

 「青少年の雇用の促進等に関する法律」が10月から施行される。新卒の募集を行う企業に対し、幅広い情報提供を促しており、若手人材の確保・育成に取り組むトラック業界も無縁ではない。同法が制定された背景と事業者が守るべきポイントを確認してみよう。(江藤和博)  Q どのような背景で法律が出来たのか。  A 2、3年前から新聞・テレビやインタ―ネットでブラック企業のことが問題になっている。この法律の大きな目的は、ブラック企業の排除だ。青少年の雇用促進や能力を発揮できる環境整備を目指した法律としては勤労青少年福祉法があったが、内容を一部改正するとともに名称を改めた。  Q 事業者が守るべきポイントは。  A 新卒の募集を行う際、幅広い情報提供を企業の努力義務とした。また、①募集・採用②労働時間③職業能力の開発・向上――について応募者から要望があった場合、必ず一つ以上は情報提供しなければならないよう義務付けた。企業規模に関係なく、中小企業も対象だ。この条項については2016年3月の施行となる。トラック事業者に特に関係してくるのは労働時間だろう。応募者から求めがあれば、従業員の勤務状況などの情報を提供しなければならず、それが実態とかい離していると問題になる。  若者が離職する理由として「就職活動中に抱いた会社のイメージと現実とのギャップ」があるギャップを感じて入社後3年以内に離職する割合は3割に上っている。厚生労働省としてはギャップを縮め、ハローワークの新卒求人への信頼を高めるため、企業に情報提供を促している。特に3項目は義務化されており、情報提供が曖あい昧まいだと、応募者からハローワークにクレームが入り指導・監督を受けるリスクが高まってくる。  Q この法律に罰則はあるか。  A 一定の労働関係法令違反(残業代不払い、セクシュアル・ハラスメント、労働時間規制違反など)をし、処分を受けた企業からの新卒者の求人申し込みをハローワークが拒否できるようになった。職業安定法により、ハローワークは全ての求人申し込みを受理しなければならなかったが、特例を設けた格好だ。  一方で、優良な中小企業に対しては、厚労相の認定制度が設けられる。若手人材をしっかり教育し、良好な労働条件を整えていると認めた場合は〝お墨付き〟を与えるものだ。  Q ブラック企業排除の国の意図が明確に見て取れる。  A 7月24日に「過労死等の防止のための対策に関する大綱」が閣議決定された。四つの対策が打ち出されているが、そのうちの一つは「啓発」だ。国民に対して広く継続的に広報・啓発活動を行うとともに若者については学校教育の場で労働関係法令を周知し、過労死防止への意識を高めていく方針だ。これから若手労働者の権利者意識はますます強くなっていくだろう。  人手不足の中、トラック業界でも新卒を採用する動きが活発になってきた。愛媛県トラック協会(一宮貢三会長)では、新卒向けの合同企業説明会を開催しており、毎年10社前後の会員事業所がブースを出展する。新卒を確保するには、コンプライアンス(法令順守)にのっとった真しな対応が求められる。 【写真=愛媛ト協の合同企業説明会(イメージ写真)】





本紙ピックアップ

「新物流2法」きょう施行、改正事業法の理解進まず

 物流効率化法(新物効法)と改正貨物自動車運送事業法からなる「新物流2法」が1日から施行される。新物効法は荷主などによる物流効率化の取り組みの努力義務が規定され、特定荷主などへの義務規定は2026年度から施行。一方、改正…

国交省/「基幹物流拠点」整備促進、法的位置付けなど検討

 国土交通省は、トラック輸送の変容や、物資の集約、新技術の導入、地域活性化に対応した営業用倉庫、トラックターミナル(TT)、物流不動産などを「基幹物流拠点」として法的に位置付け、整備を進めていく。要件を満たした物流拠点の…

ユニバース、智商運輸買収で運送参入

 物流事業者向けのシステム開発などを手掛けるユニバース(谷口臨太朗CEO=最高経営責任者、大阪市北区)は、智商運輸(河合智哉社長、岡山市東区)をM&A(合併・買収)で傘下に加え、運送事業に参入する。3月中に株式の取得を終…

全ト協、書面交付義務化対応へアプリ開発し無償提供

 全日本トラック協会(坂本克己会長)は、書面交付の義務化に対応し、契約内容の事前確認の手間を最小限とするため、書面化アプリケーションを開発する。7月以降に都道府県トラック協会を通じ、利用申し込みのあった会員事業者に無償で…

オススメ記事

「新物流2法」きょう施行、改正事業法の理解進まず

 物流効率化法(新物効法)と改正貨物自動車運送事業法からなる「新物流2法」が1日から施行される。新物効法は荷主などによる物流効率化の取り組みの努力義務が規定され、特定荷主などへの義務規定は2026年度から施行。一方、改正…

国交省/「基幹物流拠点」整備促進、法的位置付けなど検討

 国土交通省は、トラック輸送の変容や、物資の集約、新技術の導入、地域活性化に対応した営業用倉庫、トラックターミナル(TT)、物流不動産などを「基幹物流拠点」として法的に位置付け、整備を進めていく。要件を満たした物流拠点の…

ユニバース、智商運輸買収で運送参入

 物流事業者向けのシステム開発などを手掛けるユニバース(谷口臨太朗CEO=最高経営責任者、大阪市北区)は、智商運輸(河合智哉社長、岡山市東区)をM&A(合併・買収)で傘下に加え、運送事業に参入する。3月中に株式の取得を終…

全ト協、書面交付義務化対応へアプリ開発し無償提供

 全日本トラック協会(坂本克己会長)は、書面交付の義務化に対応し、契約内容の事前確認の手間を最小限とするため、書面化アプリケーションを開発する。7月以降に都道府県トラック協会を通じ、利用申し込みのあった会員事業者に無償で…

Share via
Copy link
Powered by Social Snap