過積載「大口割引停止」措置、全ての高速道に拡大
行政
2015/08/03 0:00
国土交通省は7月30日、社会資本整備審議会道路分科会の国土幹線道路部会で検討してきた、高速道路を中心とした「道路を賢く使う取り組み」の中間答申を公表した。高速道路での大型車の適正運行に向け、高速道路会社間で異なる特殊車両通行許可基準、車両制限令違反に対する大口・多頻度割引の停止措置を全国で統一する方針を示した。 28日の国土幹線道路部会での最終討議を踏まえ、高速道路ネットワークの効果的・効率的な利用や、首都圏の料金体系などの方向性を取りまとめた。 道路構造物に致命的な損傷を発生させる要因である過積載については、車限令に基づく処分の厳格化や、自動取り締まり機器の増設に加え、高速道路(NEXCO)3社のみが導入している違反車両への割引停止措置を全ての高速道路に拡大する。 NEXCO3社は、再犯の場合、大口・多頻度割引を1カ月間停止。停止期間中に更に違反したケースでは、ETC(自動料金収受システム)コーポレートカードの利用を1カ月間停止している。この措置を、現在ペナルティーが無い首都高速道路、阪神高速道路、本州四国連絡高速道路にも、利用者への周知を図った上で導入。各社が講じた割引停止などの措置に関する情報は、各社間で共有していく。 また、特車許可は、会社や支社によって車両幅員などの基準がまちまち。これに関しても、車両の円滑な通行を確保するため、これまでの運用実態を踏まえて統一する。 一方、国際競争力を強化する観点からは、港湾や物流拠点からインターチェンジ(IC)へのアクセス道路を含め、海上コンテナ積載車両の通行支障の解消を図るなど、「今後、道路構造の規格を高めていくことが重要」とした。 このほか、1月に策定した基本方針で示した、首都圏の高速道路料金体系(対距離制、会社間の継ぎ目の無い料金など)やボトルネックの解消、案内・休憩サービスの向上、地域とのアクセス機能強化など、道路を賢く使うための取り組みを列挙した。 案内・休憩サービスの向上では、ガソリンスタンドが減少し、100キロ以上のスタンド空白区間が83区間も存在している。こうした状況の改善に向け、一般道のガソリンスタンドを活用するための一時退出時の料金設定を検討。半面、大規模災害時の対応も考慮し、空白区間では高速道路事業としてのスタンド整備も視野に入れる。 更に、少子・高齢化の進展を踏まえ、「休憩施設のバリアフリー化やユニバーサルデザイン化の推進も重要」と言及している。(田中信也) 【写真=高速各社が講じた過積載による割引停止などに関する情報は、各社間で共有する(イメージ写真)】