あんしん、アジア─日本を台湾・沖縄経由で リードタイム短縮
物流企業
2015/07/20 0:00
総合物流企業のあんしん(安里享英社長、沖縄県浦添市)は、中国や東南アジアから日本本土に直送されている貨物を台湾、沖縄経由で本土に運ぶ仕組みを構築する。台湾・沖縄をハブとするアジア-日本本土の輸送ルートを構築することにより、外貿コンテナのリードタイムを短縮。台湾で物流加工、保管を行うことで輸送コストを削減する。(上田慎二) 地理的優位性を生かした中継貿易で沖縄発の貨物を増やし、国際物流拠点としての競争力を強める。県外への移出貨物が極端に少ない「宿命的な片荷輸送」のバランスを図り、本土-沖縄の物流コストを削減。県経済の活性化を後押ししていく。 台湾の大手物流会社、ワゴングループ(洪清潭社長、台北市)と8日、戦略的パートナーシップを締結。県庁で共同記者会見を開き、協定の概要を発表した。今秋から、大手総合ディスカウントストア向けの商品を台湾経由で沖縄、日本本土向けに輸送する。 記者会見で、安里社長は「沖縄は消費県。ただし、輸入品は、本土から移入される形で入ってきている。コスト削減やリードタイム短縮、品質向上が実現すれば、直接輸入の流れをつくり出せる」と強調。一方、ワゴングループの芳本強執行役員は「あんしんと物流網を構築し、新たな経済圏をつくりたい」と話した。 具体的には、ワゴングループのアジアネットワークを生かし、中国や東南アジアから日本に送る商品を台湾に集約。仕分けや保管、組み立てなどの物流加工を行い、沖縄に海上輸送する。那覇港や東京港、大阪港からの国内輸送はあんしんが担う。 「当社は東京、大阪、福岡に拠点があり、売り上げ対象の5割が本土企業。荷主からは、3拠点から沖縄まで内航輸送している商品を東南アジア、中国から直接、沖縄へ入れていきたいとの要望が多数あった。これが可能になるよう、具体的に検討している」(安里氏) 台湾-沖縄の海上輸送は、県内の船会社が運行する定期航路を利用する。ワゴングループでは、台湾と石垣市、宮古島市を結ぶ高速貨客フェリーの就航を計画。20フィートドライコンテナを中国-台湾-沖縄経由で運んだ場合、中国-福岡-沖縄経由と比較し、海上運賃を45%低減できるという。 また、アジア-先島(八重山、宮古)の直送貨物を増やし、高コストな離島の物流費を低減。更に、沖縄から本土への出荷貨物を増やし、海上輸送のトータルコストを減らすことで、県産品の競争力を高めていく。 ワゴングループは1977年、ワゴン・シッピング・コーポレーションを設立。現在は中核会社3社で構成している。2014年の売上高は376億円。内訳は、フォワーディング事業が298億円、海運事業78億円だった。あんしんは14年10月、同グループと代理店契約を締結。以降、沖縄-台湾の貨物取り扱いで連携を強化してきた。 【写真=がっちりと握手をする安里社長(中央)とワゴングループの芳本執行役員(左)ら】