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日本郵政G、10月メド上場 「民業圧迫」募る不満

行政

2015/07/09 0:00

 日本郵政グループは今秋、日本郵政(西室泰三社長、東京都千代田区)、ゆうちょ銀行(長門正貢社長、同)、かんぽ生命(石井雅実社長、同)の3社同時上場を目指している。政府与党からは、上場後、物流・金融の国際化で企業価値を高め、地方創生へ貢献することが期待されているが、物流事業者や金融機関には「民業圧迫」との不満が募る。郵便・物流事業では、宅配便事業者とのシェア獲得競争が激化しそうだ。(田中信也)  日本郵政など3社は6月30日、東京証券取引所に上場を申請した。順調にいけば10月に上場する見通しだ。売却益は東日本大震災の復興財源に充てるが、政府保有の株式が市場に売り出され、政府が長年取り組んできた郵政民営化が完遂する。  半面、上場後に予定する、ゆうちょ銀行の預入限度額と、かんぽ生命の契約限度額の拡大の方針に、民間金融機関が猛反発。日本郵政の連結子会社として残る日本郵便が「郵便・物流事業の反転攻勢」を旗印に進める、ゆうパック、ゆうメール、ゆうパケットなどのシェア拡大戦略、豪物流大手トールの買収といった国際物流の展開は、国有時代からの豊富なインフラや潤沢な資金を活用したこともあり、物流業界からは民業圧迫との批判も上がる。  上場後の日本郵政グループの方向性を検討してきた自民党の郵政事業に関する特命委員会(細田博之委員長)は、6月26日の会合で提言を取りまとめた。  ゆうちょ銀行やかんぽ生命の受け入れ限度額拡大を容認。国際物流分野の本格展開を目指す日本郵便も含め、「物流・金融などの国際化に対応できる自らのビジネスモデルを構築し、企業価値を高めるとともに、日本の経済戦略に寄与する企業であることを望む」とした。  特命委の提言では「グループの最大の特徴である全国2万4千の郵便局ネットワークは、政府が推進している地方創生に対しても可能性を秘めている」と指摘。物流に関して「地域の農業協同組合や漁業協同組合、森林組合と連携し、新鮮で安全安心な農林水産物を国内だけでなく世界に届けること」や「郵便局を中心とした小さな拠点を形成し、高齢者の見守りサービスなど自治体の代替機能」への期待感に言及。「地方公共団体を積極的に支援することで地方創生に参加する」ことを求めている。  地域活性化や過疎地の物流機能の維持に関しては、国土交通省が14年度に開催した検討会に、ヤマト運輸(長尾裕社長、東京都中央区)、佐川急便(荒木秀夫社長、京都市南区)とともに日本郵便も参加。生活支援サービスの展開などのモデル事業に取り組んでいくことで合意した。地方創生の観点で、「呉越同舟」に踏み出す。  一方、かつては郵便の独壇場だった地方自治体との連携だが、ヤマト運輸は過疎化が進む自治体と提携し、見守りサービスなどを展開。また、佐川急便は、長崎県平戸市と、ふるさと納税の特典(返礼品)発送を核にした地域活性化包括連携に関する協定を締結した。返礼品以外の特産品の流通・販売チャネルの提供も含め、他の自治体への水平展開を視野に入れており、日本郵便の「ふるさと小包」との競合に発展する可能性もある。 【写真=国有時代からの豊富なインフラや潤沢な資金を活用(日本郵政本社)】





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