好川商運、モーダルシフトで効率化 トレーラ・フェリー組み合わせ
物流企業
2015/06/25 0:00
【香川】好川商運(好川政彦社長、香川県観音寺市)は6月から、トレーラとフェリーを組み合わせたモーダルシフトに本格的に取り組み始めた。地球環境の改善に貢献するとともに、ドライバーの負担を軽減し、労働時間の改善基準告示を順守するのが狙い。ドライバーを増員せず、大量輸送による効率化で売上高と利益の拡大を目指す。(江藤和博) モーダルシフトは2014年11月から試験的に実施してきた。観音寺市から高松港までトレーラで冷凍食品を運んでシャシーを切り離し、その後の作業をジャンボフェリー(山神正義社長、神戸市中央区)にアウトソーシング(業務委託)する。好川商運のトレーラは、帰りのシャシーを連結し、観音寺まで戻る。 この新事業に備えて、ヘッド2台、シャシー6台、大型冷凍車1台を導入。シャシーは最大積載量20トンで、荷室の天井には水滴落下防止の処理を施したほか、伝票などの読み間違いを防ぐため、LED(発光ダイオード)照明を取り付けた。6月第2週目から観音寺―高松港を1日3便運行している。 近距離輸送のためドライバーの運行時間が大幅に削減されるが、これに加えて派遣会社やシルバー人材センターのスタッフを雇用して積み込み作業を分業制にし、更なる負担軽減を図っていく方針。好川政洋専務は「定期で稼働し、次の日には新しい荷物の積み込みが終了しているので、ドライバーにとっては働きやすい。今後も労働時間規制を守っていきたい」と話している。 また、運行管理のレベルアップに努めており、ドライバー全員にタブレット(多機能携帯端末)を支給。無料通話アプリ「ライン」を活用してドライバーの位置をリアルタイムでチェックするほか、遠隔地でのアルコールチェックの模様を映像で確認し、万が一の事態を防いでいる。 更に、14年8月には道路交通安全管理の国際規格ISO39001や品質管理の9001の認証を取得し、安全や品質向上に力を入れている。 好川氏はモーダルシフトについて「主要取引先の1社であるムロオ(山下俊一郎社長、広島県呉市)が推進するローコストオペレーションの考え方を参考に、荷主にとってコストダウンにつながる提案をした。昨年と同じ人数で売り上げを拡大し、休日も増やしていきたい」としている。 今後については、「四国には食品メーカーが多いが、関西へ在庫を移す動きがあり、車両不足が顕著になる中で需要はある」とみている。 同社は積極的な運賃交渉を行った効果もあって、15年11月期(2014年12月〜15年11月)は大幅な増収増益の見通し。モーダルシフトを推進することで更なる業績の拡大を目指す。 【写真=伝票の読み間違いを防ぐため荷室にはLED照明を取り付け】