国交省、女性用トイレ充実図る トラガールの活躍後押し
行政
2015/06/18 0:00
女性が活躍できる社会の実現に向け、安全で清潔なトイレの充実を――。多くの公共空間を所管する国土交通省は、女性用トイレの拡充や環境改善のための検討に着手した。駅や空港、高速道路のサービスエリア(SA)・パーキングエリア(PA)など交通機関に加え、女性の進出が期待されるトラックや建設といった分野でのトイレの充実に向けた方向性を来春にも取りまとめ、関係各方面への周知・啓発を図っていく。(田中信也) トイレの充実は、安倍晋三政権の重要課題である「すべての女性が輝く社会づくり」の施策として、公共施設などのトイレを、誰でも安心・安全・清潔で、快適に過ごせる空間とする――と位置付け。内閣府の「暮らしの質」向上検討会が5月に取りまとめた提言でも①男女別トイレの設置数(待ち時間の男女均等化)②トラガール(トラック)やドボジョ(建設)――といった、これまで女性が少なかった分野での女性トイレ(環境)の充実を検討課題に挙げている。 こうした政府の動向を踏まえ、国交省は関係各部署と、都市計画や建築関係の学識経験者、子育て関連団体、交通・商業施設の管理者、地方自治体が意見交換し、検討を深めていくため、「女性が輝く社会づくりにつながるトイレ等の環境整備・利用のあり方に関する協議会」(大森宣暁座長、宇都宮大学大学院教授)を12日に立ち上げた。 メンバーには、自動車局の秡川直也貨物課長、全日本トラック協会(星野良三会長)の小山誠企画部長らが名を連ねる。初会合では、女性トイレの行列解消や快適性・清潔性の向上などともに、「トラガールや建設業などで活躍する女性のためのトイレの充実」などを検討テーマとして確認。 また、トラックや建設など女性の活躍が期待される分野での充実に向け、「女性用トイレの拡充」と「清潔なトイレ環境の整備」を検討項目として打ち出した。これに関し、事務局は「女性トラックドライバーの意見を聴取した際、『運転技術やコミュニケーション能力に自信はあるが、使いやすいトイレが少ないことが課題』との声があった」(奈良和美・総合政策局安心生活政策課企画官)ことを紹介した。 検討項目をより具体的に協議するため、「公衆トイレの環境改善」などをテーマに三つのワーキンググループ(WG)を設置し、関係機関や専門家へのヒアリングを実施。トイレの整備・利用に関する取り組みの方向性を整理し、15年度末をメドに取りまとめを行う方針だ。 更に、プレゼンテーションが行われ、数多くの公共施設でトイレの設計を手掛けてきた小林純子委員(設計事務所ゴンドラ代表)が「トイレは身近で皆が関心を持っている。ここを改善することで、社会や組織を見直す第一歩になる」と効果を強調。男女や施設間のトイレ環境の格差を埋めていく必要性に言及した。 また、快適なトイレの事例として、新東名高速道路の清水PA、新潟県見附市の道の駅「パティオにいがた」などを取り上げた。 【写真=学識経験者、子育て関連団体などが意見交換】