日本梱包運輸倉庫社長 黒岩正勝氏、現場重視の経営姿勢 海外で日本流サービス
物流企業
2015/06/15 0:00
日本梱包運輸倉庫は10月1日からの持ち株会社制移行に伴い、「ニッコンホールディングス」(仮称)として再スタートする。国内34社及び海外24社のグループ力を結集し、「ニッコン」を次代につなぐ。黒岩正勝社長は「優れた現場力こそが企業の成長・拡大を保障し、確実なものにする」と言い切る。 ――10月から持ち株会社制へ移行する。 今は、本体が本業を行いながら、グループ戦略も決めている。移行後は持ち株会社がグループ全体の経営や戦略・戦術を考える。新体制の下、グループシナジーを発揮して事業拡大していく。 ――2016年3月期も増収増益を見込む。 終わった期(15年3月期)で言えば、円安の進行などで多少なりとも膨らんだ。「数字に一喜一憂するな」とは言わないが、中身が伴った「実力」による達成こそが本物。物流品質は向上したか、また、効率化・合理化は計画通り達成できたのか、厳しい検証が必要だ。これからも、現場を重視した経営姿勢で臨む。 ――設備投資も積極的だ。 17年3月期が最終年度の中期3カ年経営計画では、連結売上高2千億円、営業利益160億円を目指している。投資額は、15年3月期実績で189億円に達しており、総額は300億円を超えそうだ。外部環境の変化などを見据えながら適切に対処していく。 ――海外の売上比率は12%と高い。 成長のチャンスを海外に求めるといった意識は、微塵(みじん)も無い。いわば「陸続き」の考えで取り組んできた。海外でも自社で倉庫、車両といったアセットを持ちながら事業展開している。社名に「日本」が付いている限り、「日本流」のサービスを提供していく。 ――M&A(合併・買収)にも意欲的に取り組む。 シナジー効果とともに「時間」を買う成長戦略だ。中越テック(東京都江東区)、イトー急行(愛知県瀬戸市)などを買収してきたが、いずれも業態の補完や地域での競争力強化を狙ったものだ。ただし、当社の人材でコントロールできるという条件付きで、相手企業には当社のボードメンバーからカジ取り役の社長を送り出す。単なる〝進駐軍〞では、М&Aの本来の趣旨を実現することはできない。 ――5月に開催された運転技能競技大会には総勢220人が参加し、盛況だった。 物流企業は現場力の良しあしが、成長を決定付ける。常々、第一は安全、第二は品質、第三が効率化と言っているが、その全ての役割を担っているのが現場のドライバーやフォークマンたちだ。昔は「安全と弁当は自分持ち」言われたが、今はそんな時代ではない。「安全」はついてこない。安全確保は物流企業としての社会的責任でもあるが、何よりも、顧客からの信用、社業の発展に直接結びつく。 文 高木 明 写真 土屋太朗 くろいわ・まさかつ 1951年2月生まれ、東京都出身。73年駒沢大学卒業、日本梱包運輸倉庫入社。86年取締役、89年常務、8月ANIロジスティクス(タイ)社長、99年専務、2009年4月社長、11年6月社長執行役員。 ◆企業メモ◆自動車物流大手で、国内226事業所、海外9カ国・24社で構成。資本金113億円。1953年創立、70年東証2部上場、87年アメリカに現地法人設立、94年中国・タイに現法設立、97年東証1部に指定替え。15年3月期の連結売上高は1700億円、経常利益172億円。